2012年6月6日水曜日

「電力が足りなくなるから(原発を)動かすというのは本末転倒だ。」(多々見良三 舞鶴市長)


朝日新聞
再稼働を問う 舞鶴市長インタビュー
2012年06月05日
■安全確認 専門家の手で■
 関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働について、関西広域連合が先月末、事実上容認した。大飯・高浜(同県高浜町)の両原発から30キロ圏内に市のほぼ全域が入る舞鶴市の多々見良三市長に、再稼働容認や今後の課題について聞いた。


理由が本末転倒
 ――広域連合の判断をどう受け止めていますか。
 再稼働に向けて腹をくくった国に押し切られた感じだ。安全をきちんと確認してくれと主張してきた広域連合にとっては、立場がなくなる。だから、暫定だとか限定的だとかいう条件をつけて、国と議論する余地を残しておくための「捨てぜりふ」だったんじゃないかと思う。
 山田(啓二)知事はもともと、安全が確保できれば再稼働はやむをえないと言っていた。だが、橋下(徹・大阪市長)さんは、危険だから原発は認められない、何が何でも反対だと言っていたはず。容認に転じたのは、完璧にぶれた
 電力が足りなくなるから(原発を)動かすというのは本末転倒だ。信用できる安全基準を示すまでは容認できない、と言い続けるべきだったと思う


 ――容認やむなし、ではないということですね。
 いまだに、専門家が安全性を確認したという話は聞いていない。素人の政治家たちが「安全です。信じてくれ」というばかりでは、誰も信用しない。今のままでは大飯が再稼働したらすべての原発が動きそうだ。
 舞鶴の隣には高浜原発もある。全国一律の基準をあてはめて判断するのではなく、それぞれの原発ごとに、地震の記録や、地殻構造、津波の可能性などを調べ、自然災害に耐えうる施設だと確認できたら再稼働してもいい。


 ――その安全確認は専門家がすべきだと。
 中立的な複数の専門家が、例えば「この原発は90%大丈夫。足りない部分は人海戦術や装置で必ずカバーできる」などと説明してくれたら、信頼度は全然違ってくる。震災後、大飯原発はいろんな検証や対策をして安全性は高まっているはずなのに、なぜそれができないのだろう。
 滋賀と京都の知事は、政府の「特別な原発監視態勢」に加えるよう主張しているが、単なる警備じゃないんだから、専門家が目を光らせることが必要。そうでない人が監視してもあまり意味がないのでは。


原発は最小限に
 ――もし、大飯が再稼働した場合、節電はどうあるべきだと考えますか。
 生活や健康、経済に支障がない限り、ずっと続けるべきだ。市も、多少費用がかかっても徹底的にやる。どこまで少ない電力で生活できるのか、原発以外の発電方法で維持できるのか、知りたい。もし、どうしても原発に頼らないと無理だというのなら、その分だけ、安全が確認された原発から電気をもらう。
 私は原発に「絶対反対」ではないが、全部動かしてよいとも思っていない。動かすなら安全な原発で必要最小限だけにして、耐用年数が過ぎた原発は動かさないで、と言いたい。

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