2013年3月13日水曜日

山口地裁、マツダへの地位確定訴訟で元派遣社員13名を正社員と認める。

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マツダ、元派遣13人は正社員 山口地裁、地位確認訴訟で

 実質的な雇用契約が存在したのに不当に雇い止めされたとして、マツダ防府工場(山口県防府市)の20~50代の元派遣社員15人が、マツダに地位確認などを求めた訴訟の判決で、山口地裁(山本善彦裁判長)は13日、原告13人を正社員として認めた。雇用が続いていた場合に支払われていたはずの賃金の支払いも命じた。

 判決は派遣社員を一時的に直接雇用する「サポート社員」制度について、労働者派遣法に違反すると判断した。15人中13人がこの制度の対象になっていた。

 雇い止めされた派遣社員を派遣先企業の正社員として認めた判決は極めて異例。類似の訴訟にも影響を与えそうだ。

2013/03/13 14:41   【共同通信】







高知新聞
【マツダ雇用制度】派遣活用する企業に警鐘
2013年03月15日08時18分

 企業の勝手な雇用制度で、労働者が振り回されるのは許されない。

 派遣社員の雇用が一定期間を超えないよう、一時的に直接雇用に切り替えていた自動車大手・マツダの雇用制度の適法性が争われた訴訟で、山口地裁は制度を違法だと断じた。その上で、雇用が打ち切られた原告の元派遣社員の一部を正社員と認めた。

 労働者派遣法は、派遣期間が連続3年を超えれば、派遣先の企業が直接雇用するよう定めている。

 ところが、原告が勤めていたマツダ防府工場(山口県防府市)は、その3年の期限が来る直前に、社独自の「サポート社員制度」を利用し、短期間だけ直接雇用に切り替えていた。
 厚生労働省の指針は、同じ派遣社員を受け入れる場合は、次の雇用までに3カ月以上の期間が必要としている。

 マツダはその指針の期間、雇用形態を変え、法で定められた派遣期間を超えないようにしていたことになる。

 判決は、この雇用制度を「派遣の常用雇用を防止する労働者派遣法の根幹を否定する」と厳しく非難したが、マツダ側にすれば、熟練工を長期間、派遣社員として雇用できるメリットがあったのではないか。

 派遣社員のまま長く雇用すれば、正社員に比べて人件費が安くなり、仕事量に応じて人数の増減もできる。まさに「企業の論理」だが、この雇用制度の根底には、そうした狙いがなかったと言えるだろうか。

 マツダ側は、サポート社員と派遣の雇用が繰り返された点を「労働者が自分の意思で受け入れた。会社が意図した事実はない」としている。

 だが、弱い立場の派遣社員が本当に自らの考えでそうした選択ができたのか、大いに疑問が残る。

 厚労省の指針にしても疑問がある。企業が規定より長く派遣社員を雇用できる「抜け道」に使われているとすれば、何らかの対策を早急に取るべきではないのか。

 長引く不況や働き方の意識の変化で派遣労働者は120万人を超えている。雇用者の3人に1人が派遣社員を含めた非正規労働者で、不安定な働き方を強いられている人も多い。

 今回、違法とされた雇用形態について、専門家の中には氷山の一角との指摘がある。企業の理屈で、派遣社員らが不利益を被っている例は他にはないのか。企業全体への警鐘にしたい。




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