辺野古埋め立て 政府が沖縄県に申請
3月22日 18時34分
沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題を巡り、政府は、日米合意で移設先とされている、名護市辺野古沿岸部の埋め立てを、沖縄県に申請しました。
沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題で、防衛省沖縄防衛局は、22日午後4時前、名護市にある沖縄県北部土木事務所に対し、日米合意で移設先とされている名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事の設計の概要や施工期間を示す書類などを提出し、沖縄県に埋め立て申請を行いました。
申請のあと記者会見した小野寺防衛大臣は、「埋め立て申請に必要な名護の漁協との合意ができたので、速やかに申請した。これからがスタートだ。辺野古への移設は、普天間基地の危険性の除去や沖縄の負担軽減につながる第一歩だということで、了解を得る努力をしていきたい」と述べました。
普天間基地の名護市辺野古への移設計画については、沖縄県の仲井真知事が、地元の理解を得られていない計画は「事実上不可能」だとして県外への移設を求めているほか、地元の名護市の稲嶺市長などすべての市町村長が県内移設に反対しています。
沖縄県では、申請書類に不備がなければ正式に受理することにしていて、現地調査や関係者の意見聴取など一連の手続きを経て、仲井真知事が、半年から8か月をめどに申請を承認するかどうか、最終的に判断することになります。
普天間基地について、安倍総理大臣は、先月の日米首脳会談で、オバマ大統領に対し、日米合意に基づいて移設を早期に進めていく考えを伝えています。
また、名護市では、来年1月にも市長選挙が行われることから、市長選挙に与える影響をできるだけ抑えたいというねらいも、22日の申請の背景にあるものとみられます。
埋め立て申請の手続き
埋め立て申請の手続きは、「公有水面埋め立て法」に基づいて行われ、申請の書類が整っているかどうかを審査したあと、正式に受理されることになります。
そして現地調査や申請された計画を市民に公開する告示・縦覧を経て、利害関係者から意見を聴き取ることになっています。
利害関係者は、地元の名護市と移設予定地に漁業権を持つ名護漁業協同組合などとみられ、このうち名護市は市議会の議決を経たうえで、申請に対する意見を提出できます。
これを受けて、沖縄県は、環境影響評価書に対し指摘した質問や意見が、申請された設計書に反映させているかなどを審査し、最終的には仲井真知事が申請を承認するかどうか判断することになります。
埋め立て申請の一連の手続きには、通常、半年から8か月程度の期間がかかるとされています。
仲井真知事「理解できない」
3月22日 19時24分
政府が名護市辺野古沿岸部の埋め立てを沖縄県に申請したことについて、沖縄県の仲井真知事は、「『辺野古への移設は、事実上無理ですよ、不可能ですよ』とずっと申し上げてきたのに、政府がなぜそれを考えないのか理解できない。実現の可能性を考慮しないで、政府が決めたから実行できるということは考えられない」と述べ、不快感を示しました。
そのうえで、埋め立て申請に対する沖縄県の承認の判断については、「今回の申請の前に行われた環境影響評価書についても国からきちんとした返答がもらえているとは考えていない。県内すべての41市町村が反対と言っているが、申請への対応は、法律の要件をよく読んでみないと分からないので、担当課の検討をよく聞いてから最終的な結論を出したい」と述べました。
名護市長「憤りしか感じない」
また、地元、名護市の稲嶺進市長は、「これまでの環境アセスに関する書類の提出でも見られたように県民の目を欺くかのような不意打ちの形で埋め立て申請が提出されたことに憤りしか感じない。沖縄県は、これから審査に入ると思うが、環境アセスの段階でも県の指摘事項が多くあり、県は埋め立て申請に対して、『はい分かりました』とはいかないと思う。県から意見を求められればこれまで表明しているとおり、はっきりと『辺野古への移設は、まかりならん』と言いたい」と話していました。
沖縄タイムス
防衛省、県に辺野古沖埋め立てを申請
2013年3月22日 16時34分 (18時間49分前に更新)
防衛省は22日、米軍普天間飛行場の移設先となっている名護市辺野古沖の埋め立てを申請する書類を県に提出した。同日午後3時40分に、県北部土木事務所に沖縄防衛局の職員6人が申請書類5箱を提出した。
漁協から同意書得た 防衛省幹部
防衛省幹部は22日、米軍普天間飛行場の移設先となっている辺野古沿岸部の埋め立てに関し、地元漁協から漁業権一部放棄の同意書を得たと明らかにした。(共同通信)
許せない! 防衛省、県に辺野古埋め立て申請。 普天間の辺野古への移設を許すな! 明日23日午後6時30分より防衛省正門前で緊急抗議行動。teyata.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/03/p…(画像)琉球新報号外 twitter.com/yatasan1948/st…
— yatasan さん (@yatasan1948) 2013年3月22日
辺野古埋立申請書が提出されてしまった。それも漁協の同意書付き。そして担当部署のある2Fではなく、3Fへ持ち込まれたとか。2Fではみんなが見張ってたからだよね。事前に確認した際は、他の部署では受け付けないって言ってたのに。県の言うことも信用ならんてことなの?
— tchiezinhaさん (@tchiezinha) 2013年3月22日
国が沖縄県に辺野古埋め立て申請。国は尖閣有事の日米共同作戦策定も開始。二度と沖縄を戦場にさせてはならない。したたかに県民意思を示して反対しよう。グリーナムコモンでは1982年に3万人で基地包囲行動《EMBRACE THE BASE》 bit.ly/YJG5RK
— 伊波 洋一 (いは よういち)さん (@ihayoichi) 2013年3月22日
沖縄タイムス
辺野古埋め立て申請:別部署に突然搬入
2013年3月23日 10時18分 (3時間10分前に更新)
またも不意打ちだった。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、22日に埋め立て申請を出した沖縄防衛局。職員は報道陣の目を避け、担当でない部署に突然段ボール箱を運び込み、姿を消した。県北部土木事務所の職員は「何が何だか」と困惑。2011年末の未明の搬入劇に続く隠密行動に「姑息(こそく)な手段は自信のなさの表れだ」と、怒りの声が広がった。
県北部土木事務所によると、スーツや作業服姿の男性6人は午後3時40分ごろ、名護市の事務所3階に現れた。「沖縄防衛局ですけど、埋め立て申請書を提出に来ました」。県職員の指示に従い、段ボール5箱を所長室に運び込んだ。
名乗らず、名刺も置かず、立ち去るまでわずか1、2分。対応した県職員は「一瞬のことだった」とぼうぜんとした表情を浮かべた。県庁から事務所に「今から提出に来るようだ」という電話が入ったのはその直後で、後の祭りだった。
報道陣や市民約20人は、担当の維持管理班がある2階で待ち構えていた。しかし、防衛局職員が向かったのは3階の庶務班。「普通は維持管理班だが、制度上はこちらでも受け付けられる」(県職員)という盲点を突いた。隣の用地班の入り口から入り、室内を通って庶務班に行く念の入れようだった。
所長や担当者は午後から県庁に出向いていて不在だった。次長に当たる伊志嶺茂業務総括は「まさか別の部屋から入ってくるとは。事前に下見でもしていたのだろうか」と絶句した。
提出から15分ほどたってから、2階の報道陣の間で「段ボールが上の階に置かれた」との情報が飛び交い騒然となったが、結局各社とも提出の様子を取材することはできなかった。
警戒に来ていた作家の目取真俊さん(52)も防衛局職員を見つけられず、「阻止したかった」と悔しがった。「市民やマスコミの目を盗み、こっそり提出するのは、支持が得られないことを知っているからだ。今度は県民の決意が問われる」と指摘した。
「県民を愚弄」地元反発 手続き先行批判
【名護・宜野座】「県民を愚弄(ぐろう)している」-。沖縄防衛局の埋め立て承認申請書提出に、地元の名護市や宜野座村の住民からは反発の声が相次いだ。同市辺野古で地域振興を条件に移設を容認する団体からも「手続きだけが先行している」と批判の声が上がった。
同市辺野古、豊原、久志の移設に反対する住民でつくる「命を守る会」の西川征夫代表(68)は「防衛省の強引さが際立ってきた」と憤る。ただ、多くの県民が反対する現状に変わりはないとし、「県全体の反対を追い風に、移設は無理だと辺野古から訴えていきたい」と力を込めた。
辺野古のテント村で抗議を続けるヘリ基地反対協の安次富浩共同代表(66)は一報を聞いて、県北部土木事務所に駆け付けた。「問題が始まってから17年、ボーリング調査など苦しい局面はたくさんあったが、みんなの力で乗り越えてきた。県民の思いを無視する国に対抗する態勢をつくっていく」と決意を語った。
東海岸で名護市と接し、辺野古に滑走路ができれば飛行経路となる宜野座村松田の当真嗣信(つぎのぶ)区長(50)は反対を貫く。「地元の理解を得たいと繰り返す政府は『基地を造るな』という地元の声こそ、理解すべきだ」と声を荒らげた。
条件付きで移設を容認する辺野古区代替施設安全協議会の許田正武代表理事(43)は「遅かれ早かれ申請書は出ると思っていた」。辺野古以外に移設先がないなら条件を交渉する準備があるという立場だが、「振興策を話し合う場もなく、手続きだけがとんとん拍子で進んでいる」と批判した。
移設容認の企業を中心につくる「北部地域振興協議会」の荻堂盛秀会長(73)は「知事が中身を精査し、どういった判断を下すか、しっかりと見守りたい」と話した。
YAHOOニュース
辺野古埋め立て申請:「姑息」怒りや不信感
沖縄タイムス 3月23日(土)11時24分配信
「国は一方的。沖縄は日本なのか」-。普天間飛行場の辺野古移設手続きを強引に進める政府に、県民は怒りや不信感をあらわにした。オスプレイ配備に反対してきた市民団体も一斉に反発し、新基地建設に「実力阻止」の声も上がった。一方、埋め立ての可否を最終的に判断する仲井真弘多知事に、申請を承認しないよう求める声が相次いだ。
宜野湾市の会社員、上江洲淳さん(57)は「県民が県内移設やオスプレイ配備をどんなに反対しても政府は進めるのか」と憤った。住宅上空をオスプレイが通過するたびに不安を感じる。「危険はお金には換えられない。普天間は県外に移設すべきだ」と訴えた。
仕事を終え帰宅途中だった非常勤職員、渡久山さやかさん(27)=那覇市=は「沖縄がどれだけ声を上げても聞く耳をもたない政府の一方的なやり方をみていると、本当に沖縄って日本なのって思う」と不信感を募らせた。
与那原町で子どもたちにウチナーグチを教える屋比久澄子さん(72)は「県民を侮っている。辺野古移設に反対している県民の意見を尊重すべきだ」。自然豊かな辺野古沿岸で孫と遊んだことがある。「あの自然を子どもたちに残してほしい。仲井真知事は、辺野古移設反対を変えないでほしい」と願った。
国際通りを散歩していた那覇市の調理師、宮城勉さん(60)も「仲井真知事は県外移設の主張を貫いて」とくぎを刺した。市内の上空で時折見掛けるオスプレイに「墜落するのではないかと本当に怖い」と不快さを感じている。「名護への移設は人ごとじゃない。県民としてこれ以上の基地負担を許してはいけない」
名護市辺野古区に住む70代の男性は「国は一方的だ」と批判。小さい時からタコやエビを捕って遊んだ思い出を語り、「辺野古の海は死んでしまう。もう遊べない。基地ができれば狙われもするだろう」と不安がった。
移設反対の座り込みに参加したことがある名護市の会社員、城山祥子さん(33)は「残念です」と一言。民主党政権で県外移設の可能性が浮上したことを振り返り、「期待もあったのに結局こうなってしまった。がんばっても仕方ないのかな」と無念そうに話した。
琉球新報
社説
埋め立て申請 民主主義否定する暴挙
2013年3月23日
安倍政権が米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設に向けた公有水面埋め立て承認申請書を県に提出した。これは民主主義を否定する暴挙以外の何物でもない。
日米が1996年に普天間飛行場の返還に合意して以来、県民は県知事選や国政選、県議選、名護、宜野湾両市長選などで県内移設をめぐり激論を展開してきた。
しかし、熟議を重ねた結果、今や仲井真弘多知事が「県内は不可能」として県外移設を求め、県内41市町村の全首長、全議会が県内移設に反対している。昨年12月の衆院選で当選を果たした県選出・出身の自民党議員4氏も「県内移設反対」を公約に掲げた。
こうした民意を無視する差別的取り扱いは断じて容認できない。
県議会議長や市町村長、議長ら県民代表は1月に安倍晋三首相と面談、普天間飛行場県内移設に反対し、閉鎖・撤去を求める「建白書」を提出した。首相はこの最大公約数の民意を尊重するべきだ。
普天間移設先について、森本敏前防衛相は「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適」とした。県内移設には必ずしも軍事的合理性はない。
ジョセフ・ナイ氏ら米国の知日派識者が在沖海兵隊のオーストラリア移転や米本国への撤収論を提起している。元防衛省幹部の中にも「オスプレイ配備の前提となる沖縄海兵隊の存在理由を『抑止力』と説明するのは、軍事的に説得力がない」と述べ、技術の進歩で「海兵隊が沖縄にいる優位性はなくなった」とする指摘がある。
普天間飛行場や在沖海兵隊を取り巻く環境は変わっているが、辺野古移設に固執する外交・防衛官僚の思考停止が変わっていない。
安倍首相とオバマ大統領は、シビリアンコントロール(文民統制)を正常に機能させるべきだ。日米関係を劇的に改善し、国民の外交・安全保障政策に対する信頼を回復させるためにも、両首脳の高度な政治判断で普天間の閉鎖・撤去、海兵隊の県外・国外移転を真剣に検討すべき時だ。
成算のない県内移設手続きでこれ以上、時間と労力を空費するのは愚かなことだ。普天間の固定化阻止、一日も早い危険除去は当然のことだが、その手法はあくまで民主的であるべきだ。日米が民主主義の国であるのなら、「建白書」こそ最大限尊重すべきだ。
こっそりと、本来の提出部署ではないところへ申請書を置いて、1~2分で立ち去った沖縄防衛局。言葉は悪いが、こそ泥の仕業。安倍に「恥の概念」はないらしい。→辺野古埋め立て申請 国が県へ文書提出(琉球新報) - Y!ニュース headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130323-…
— 鈴木 耕さん (@kou_1970) 2013年3月23日
沖縄タイムス
社説
[辺野古埋め立て申請]この国はゆがんでいる
2013年3月23日 09時31分 (6時間33分前に更新)
沖縄には歴史的に重要な日付がいくつかある。慰霊の日の6月23日、サンフランシスコ講和条約が発効した4月28日、沖縄の施政権が返還された5月15日。こうした歴史的日付の最後尾に、新たな日付が加わることになった。
米軍普天間飛行場の辺野古移設のため政府が県に対し公有水面の埋め立てを申請した3月22日という日付である。
政府は、米側との関係維持を優先させ、辺野古移設に反対する圧倒的多数の民意を情け容赦なく切り捨てた。
県民大会実行委員会、県議会、県市町村関係4団体、市町村、市町村議会が1月28日、連名で、安倍晋三首相に「建白書」を提出したにもかかわらず、県内移設断念の要求は完全に無視された。
普天間返還合意の立役者である橋本龍太郎元首相は生前、「地元の頭越しには進めない」ことを何度も強調し、沖縄側との話し合いを重視したが、この前提すらいともたやすく葬られてしまった。
辺野古移設のための環境影響評価書(補正後)について日本自然保護協会は「極めて不適切」だと指摘した。日本生態学会は、この海域の生態系と生物多様性が失われてしまうことを懸念し、「埋め立ての中止を求める要望書」をまとめた。こうした専門家の疑問や懸念に対しても、政府は聞く耳を持たなかった。
この事態はあまりにも異常である。安倍政権には、沖縄の人びとの歴史的体験に寄り添う姿勢や、心のひだを内在的に理解しようとする姿勢が、著しく欠けている。沖縄音痴の政権だ。
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沖縄において主権者は一体、誰なのか。
日本国憲法は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言」しているが、米軍の利害が絡む問題では、国民の主権よりも米軍の意向が優先されることが多い。米兵による事件事故が発生しても、沖縄の住民や自治体は、地位協定によって「半主権状態」に置かれ、国内法で保障された権利を行使することができない。
「建白書」は、「国民主権国家日本のあり方が問われている」と厳しく指摘しているが、全く同感である。
安倍内閣は、サンフランシスコ講和条約が発効した4月28日に、政府主催の記念式典を開く。圧倒的多数の反対の声に背を向けて埋め立てを申請し、沖縄の人びとが「屈辱の日」と呼ぶ日に政府主催の式典を開くというのである。
これほど露骨な民意無視、沖縄切り捨ては、過去の政権と比較しても突出している。
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安倍政権の基地政策は明確だ。第一に、住民が反対しようがしまいが、日米同盟の強化をすべてに優先させること、第二に、基地負担の見返りに「カネ」や「公共事業」をばらまき県や業界団体の懐柔に努めること、である。
要するに、基地と振興策をリンクさせ、基地受け入れに向けた環境整備を図る、というのである。作家の中野重治の小説の中の言葉が胸に響く。「わたしらは侮辱の中に生きています」
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