2013年4月23日火曜日

牧野和春『桜伝奇』を読む(1) 第5章 石部桜(福島県)

このところ、各地の皆さんのtwitter発信により、各地の桜の便りを追っかけている。

そんな中で、福島県の石部桜は大人気である。
テレビ番組NHK大河ドラマ『八重の桜』のオープニングに出てくるらしい。

石部桜について、牧野和春『桜伝奇』が一章をこれに宛てているので、以下にご紹介する。
*
牧野和春『桜伝奇』(日本人の心と桜の老巨木めぐり)
第5章 石部桜(いしべざくら 福島県会津若松市)
1 会津五桜

福島県には桜の古木、巨木が多い。
それは、「たぶん、福島県の気候風土が桜の成育に好都合であるからなのではあるまいか。

何故なら、
種としてみた場合、エドヒガンは特に長寿の桜でおり、その分布は青森から鹿児島まで列島の全域に及び、しかも独立木として存在する。

西日本、なかでも大和、吉野が中心とみられるヤマザクラの北限は太平洋側では宮城県仙台市あたり、日本海側では越後(新潟県)の北部あたりとされる。

逆に、北方系の、北は北海道からサハリンあたりまでのびるオオヤマザクラ(エゾヤマザクラとも称する)の生育の南限は関東、日光あたりといわれる。

つまり、「福島県はいずれの種についても相乗りの形で地図上に塗り込められる。

『新編会津風土記』(文化6年)に記述されている桜の名木五本として
1.石部桜(会津若松市一箕町(いつきまち))
2.大鹿桜(耶麻郡猪苗代町、磐椅(いわはし)神社境内)
3.薄墨桜(大沼郡会津高田町、伊佐須美(いさすみ)神社境内)
4.虎の尾桜(同、会津高田町、法用寺境内)
5.杉の糸桜(河沼郡会津坂下(ばんげ)町、杉村薬師堂境内)
があり、
これを「会津五桜」という。

このうち、随一にあげられるのが「石部桜」で、この桜は寛文六年(一六六六)刊行の『会津風土記』にも紹介されている。
「石部桜」の名は、芦名氏の重臣石部治部大輔の邸宅の庭にあった桜で、石部氏遺愛の木と伝えられるところからおこった名前である。」

「幹の周囲は大きいものでは二・二メートル、小さなものは五〇センチほどだ。全体の枝張りは十九メートルにも達する。樹高十一メートル。推定樹齢約六〇〇年。種類はエドヒガンである。昭和四三年、会津若松市の天然記念物に指定された。
花の色はエドヒガンにしては白っぽい。

このあと、記述は
ここから飯盛山は目と鼻の先。距離にして三〇〇メートルほどであろうか。・・・
左手には、幕末の会津戦争で血に染まった滝沢村の家並みがみえる。
と続き、
第2節 幸の里の血潮
第3節 白虎隊の少年たちを想う
と続くが、ここでは割愛する。



0 件のコメント: