2013年4月27日土曜日

安倍首相、「侵略の定義定まってはいない」 ⇒ 侵略戦争ではなかった

朝日新聞 2013-04-23

「侵略の定義が定まっていない」という言葉の意味そのものではなくて、
前の戦争は侵略戦争ではなかったと、私は主張する、
という意味である。

この安倍というオトコは、何を「とりもろそー」、としているのか。

WSJ2013年 4月 26日 12:30 JST
安倍首相、近隣諸国の神経を逆なで−戦時期の「侵略」を疑問視
By TOKO SEKIGUCHI 

【東京】安倍晋三首相は最近、戦時期の歴史を再考すべきとの考えを一段と強く打ち出し、閣僚の靖国神社参拝に対するアジアの近隣諸国の批判に反論した。だが、その発言が中韓両国との関係をさらに悪化させている。

安倍内閣の閣僚による靖国神社の参拝を受けて近隣諸国の感情が高ぶるなか、同首相は日本が第2次世界大戦中にアジア周辺国への攻撃や支配が「侵略」に当たるのか疑問を投げ掛け、周辺国の神経を一層逆なでした。

同首相は23日の国会答弁で、「『侵略』という定義は学会的にも、国際的にも定まっていない」と述べた。1995年に当時の首相が出した植民地支配を謝罪する談話(いわゆる村山首相談話)を支持するかとある議員が質問したのに答えた。安倍首相は「国と国との関係で、どちら側から見るかで違う」と付け加えた。

状況は極めて険悪になっており、韓国外務省は25日、日本の駐韓大使を呼び、この安倍発言への公式な抗議を表明した。韓国の外相は先週末の閣僚らによる靖国参拝を受け、この3日前に東京への訪問を取り止めたばかりだ。

韓国外務省の報道官は25日、「日本、日本政府、そして政治家たちから歪曲された歴史認識や時代錯誤な発言が相次いでおり、これに強い遺憾の意を表明した」と述べ、「日本の指導者が植民地支配と侵略を誠実かつ謙虚な姿勢で反省し、時代錯誤な認識と発言を矯正するよう期待する」と付け加えた。

日本は1910年に韓国(大韓帝国)を正式に併合し、1945年の第2次大戦の終了まで朝鮮半島を占領していた。

安倍首相や側近である閣僚たちの行動や発言が国外で反感を呼んでいるが、高い人気を持つ同首相は支持者に対し、自らの姿勢を支持するよう訴えかけている。同首相の秘書は24日の国会答弁の動画を同首相が持つフェイスブックの公式ページに投稿した。そこには同首相が閣僚や国会議員には靖国参拝の権利があると熱心に擁護する様子が映し出されている。靖国神社は近・現代の戦争で亡くなった200万人以上の犠牲者とともに、戦犯が祭られている。

この投稿にはすぐさま、同首相の姿勢に拍手を送る保守的な支持者から何千件もの称賛の声が寄せられた。ある支持者は、「総理の発言に感動した人々はたくさんいる」と書き込んだ。別の支持者は、「77歳になるわたしの母親は、(靖国神社について)他の歴代総理が言わなかったようなことを言ってくれたと感謝している」と書いた。

24日の国会答弁で、野党議員は閣僚の靖国参拝による影響について安倍首相に尋ねた。同首相は「国のために尊い命を落とした英霊に対し、尊崇の念を表するのは当たり前だ。わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」と答えた。

安倍首相は「それ(靖国参拝など日本が戦死者に敬意を払う権利)を削れば関係がうまくいくという考え方は間違いだ」と指摘し、昨今の中韓両国の対日批判には、国内政治上の動機があるとの見方を示唆した。

安倍内閣の閣僚は、政府当局者としてではなく、私人として靖国神社を参拝したと述べているが、中国政府はそういった区別を認めていない。中国外務省の華春瑩副報道局長は24日、「日本の指導者がどのように、そしてどのような肩書きで靖国神社を参拝するかは問題でない」と話し、「われわれには日本が軍国主義的な侵略の歴史を事実上否定しているように感じられる」と付け加えた。

先週末には麻生太郎副総理・財務相を含む安倍内閣の閣僚が春の例大祭に合わせて靖国神社を参拝し、23日にはさまざまな政党に所属する168人の議員が参拝した。1989年以来最多の議員参拝だった。

安倍首相は強力な防衛政策と日本の戦時中の歴史の再考を支持していることで広く知られる。2006年—07年の第1次安倍内閣は、日本の平和憲法の改正を優先しようとしたことも早期退陣に追い込まれた理由の一つとみられている。

同首相は昨年末に首相に返り咲いたが、同じ過ちを犯さぬ決意から、最近までナショナリスト的見解をほぼ隠してきた。つまり閣僚の足並みをそろえ、経済問題に重点を置いていた。

しかし、ここに来て同首相は、70%前後に達する高い支持率と、新たなインターネット上の支持層に意を強くし、ますます個人的なアジェンダ(目標、政策課題)に焦点を当てようとしているようにみえる。

ただし、一般市民にその変革を受け入れる用意があるかどうかは別の問題だ。朝日新聞が16日に公表した世論調査によると、回答者の50%が安倍首相の経済政策を支持したものの、同首相の外交・安全保障問題へのスタンスを支持したのはわずか14%だった。憲法に関するスタンスについては、6%しか支持していない。

政府によるアジェンダの方向転換を懸念しているのは安倍首相に対する批評家だけではない。同首相に近い閣僚すら懸念を抱いている。

例えば麻生副総理は、自らの靖国参拝の2日前の19日のインタビューで、「経済を先にするという方向に考えないといけないと私自身は思っている」と述べ、参院選で自民党が勝利した場合、首相の関心が教育や憲法改正などに向かうのではないかと懸念していると述べた。

しかし、安倍首相はそこまで待たないかもしれない。同首相は最近の読売新聞とのインタビューで、憲法改正が参院選の焦点になるだろうと語っている。







衆院内閣委員会での日本共産党の赤嶺政賢議員に対する安倍首相答弁(歴史認識関連部分)
(2013年4月26日、仮起こし=J)
※赤旗政治記者の仮起こしです。あくまでも、ご参考まで。

   ◇

 赤嶺政賢議員 法案に入る前に安倍総理の国会発言について聞いておきたいと思います。昨日韓国の外務次官が別所駐韓大使を呼び、「日本政府と政治家によるゆがんだ歴史認識と時代錯誤の言動に対し強く遺憾の意を表する」と抗議するなど、外交上の問題になっています。
 問題の発端である4月23日の参議院予算委員会で安倍総理は、村山談話について、「いろいろ曖昧な点がある」とした上で、「とくに侵略という定義については、これは学界的にも定まっていないといってもいいんだろうと思うわけでございますし、それは国と国との関係において、どちら側から見るかということにおいて違うわけでございます」、このように述べました。
 総理は、日本の過去の戦争について、どちら側から見るかで評価が違うというのでしょうか。中国や韓国から見ると侵略だが、日本から見るとちがうというのですか。

 安倍晋三首相 えー、いわゆる村山談話はですね、戦後50年を機に出されたものであり、また戦後60年にあたっては、当時の小泉内閣が談話を出しているところでございます。わが国はかつて、えー、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な…多大の損害と苦痛を与えた。その認識においては、安倍内閣は歴代の内閣と共通の立場、同じ立場でございます。
 ま、その上においてですね、ま、しかるべき時期に21世紀に相応しい未来志向の談話を発表したいと、ま、考えており、そのタイミングと中身については、今後十分に考えていきたいと、ま、先般そのように答弁をいたしました。
 ま、いずれにせよ、韓国や中国をはじめとする、ま、近隣の国々は、えー、日本にとっても重要な、ま、パートナーでもあります。えー、私はこれらの国々との関係強化に引き続き努力をしていくとともに、えー、地域の平和と繁栄に積極的に貢献をしていく所存でございます。
 えー、ま、歴史認識の問題についてはですね、ま、基本的に、私が先般も述べたことはですね、えー、政治家がとやかく、ま、いうべきことではないと。えー、歴史家がせん…歴史家や専門家に委ねることが適当であろうと、このように考えております。
 えー、私は歴史認識に関する問題が、外交問題、ま、政治問題化されることは、もちろん望んでいないわけでございまして、いわば歴史認識問題について、ま、政治のば…ば、ば、場においてですね、議論することが結果としてですね、それは、外交問題、えー、政治問題に発展をしていくわけでございまして、だからこそそれは、それこそは、まさに、えー、歴史家、専門家に任せるべきことであろうと、えー、このように判断をしております。

 赤嶺 再度確認いたしますけれども、村山談話で植民地支配と侵略がアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたという認識、これは継承するということですね。

 安倍 ま、これは、あの、ま、継承するとかしないとかということではなくてですね、それは、あのー、さきほど、えー、申し上げましたように、えー、村山談話がですね、50年を機に発出をされたものであり、60年を機に小泉談話が出されたわけでございまして、えー、ま、今回政権が代わり、安倍内閣が誕生したなかにおいてですね、えー、そして、えー、もうじき70年を迎えることになるわけでございますが、えー、内閣としてですね、えー、ま、未来志向の談話を、えー、発出していくのが、適当ではないかと、ということも含めて、えー、よく考えていきたいと、ま、こういうことでございます。

 赤嶺 非常に曖昧であります。日本が中国や朝鮮半島をはじめ、アジア諸国に対して侵略戦争を行ったということは、歴史的、客観的な事実であります。1941年12月、日本がアメリカ、ハワイの真珠湾を奇襲攻撃し、太平洋戦争が始まった直後、42年1月、米英中ソはじめ26カ国が連合国共同宣言を発表し、生命、自由、独立を擁護し、人類の権利及び正義を保持するため、あらゆる資源を動員して、日本、ドイツ、イタリアに対抗する共同闘争を呼びかけます。
 そして、1943年11月、「日本国に関する米英中3カ国によるカイロ宣言は、日本国の侵略を制止し、かつこれを罰するため今次の戦争をなしつつあるものなり」と、日本との戦争の目的が、日本の侵略制止にあると、このように規定しております。1945年7月、ポツダム宣言には、カイロ宣言の履行が明記され、そのポツダム宣言を日本が受諾したのであります。
 こうした事実を前提として現在につながる戦争後の国際秩序と国連体制が形成をされました。
 総理が国によって見え方が違うと、このように発言するのは、こうした歴史の事実を否定することになるものではありませんか。

 安倍 まあ、いま、もう、答弁したとおりでございますが、ま、歴史というのは、ま、一般論としていえばですね、これは、あの、えー、確定するって、えー、それは確定するのが難しいこともあるわけでありまして、長い年月をかけてですね、専門家の手のよって、えー、新たなファクトが、これ、掘り出されていくことも、ま、ございます。ま、そういうようなこともですね、えー、あわせていきながら、まあ、まさに、えー、これは専門家、あー、歴史家に委ねるべきであってですね、えー、私が政治家として神のごとくそれを判断することはできないと、えー、このように申し上げているところでございます。

 赤嶺 日本の政治家があの侵略戦争に対する反省から、国際社会からいろんなことを要求され、いま戦後につながっている、これは歴史家が判断することじゃないですよ。日本の政治家が判断をして、これにもとづいて国際社会に向き合っていくことこそ大事だと思います。
 で、見過ごせないのはですね、総理は侵略の定義について、これはまだ定まっていないとおっしゃいました。ところが、国連総会決議3314は、侵略の定義に関する決議をしておりますが、これはご存知ですか。

 安倍 ま、しかし、これは、あのー、歴史家のなかにおいてはですね、さまざまな、まあ、議論が、あるのは事実でございまして、えー、ま、私もですね、えー、そうした定義については、ま、さまざまな観点から議論がいまでもされていると、いうふうに承知をいたしております。

 赤嶺 この侵略の定義というのは、「侵略とは、国家による他の国家の主権、領土保全、若しくは政治的独立に対する…武力の行使である」と明確に定義しております。この侵略の定義というのは、国際刑事裁判所の規定にも援用され、国際社会が侵略行為と侵略犯罪を処罰する根拠規定とされております。これは日本も加盟をしております。
 国連は、戦後のこのような長い議論を経て侵略の定義に至ったのであります。
 やはりですね、そういうこともゆがめて発言するようなことは、許されないと、このように思います。

(おわり)


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