琉球新報
反対説得に報労金 防衛省漁業補償
2013年7月5日
公有水面埋め立てなどに関わる漁民への漁業補償に関連し、防衛省が補償に反対する人を説得した「有力者等」に対して、報労金や土産品を渡せる規定になっていることが、4日までに分かった。金品の支払いは防衛省の内部文書で規定されている。沖縄防衛局は「局として、これまでに支払った実績はない」と説明している。一方、専門家は税金の支出や公平性の観点から、同規定を問題視している。
支払規定は2008年3月31日付で、防衛省地方協力局長から各地方防衛局長宛てに出された「漁業補償等処理事務費の執行について(通知)」の文書に明記されている。説得に対する報労金に加え、有力者等が反対者らを説得するために開く説明会の会場費や食事代などを、各防衛局が立て替え払いができるとしている。沖縄防衛局は立て替え払いのほか、正式な支払いの実績はないとしている。
漁協などが制限水域設定などのために開く総会の開催費用や、総会出席者の日当の負担についても同文書で定められている。沖縄防衛局は4日、名護市漁協が、米軍普天間飛行場の辺野古移設に関する公有水面埋め立て申請に同意した3月22日の総会について、同局が支出した会場借り上げ費とバスのレンタル料が約32万8千円だったことを明らかにした。
報労金などの支出は防衛省内の内規(訓令)に基づき予算措置で対応するが、法令根拠はない。防衛省は「国の事業を執行するに当たり、漁協など、相手に経済的な負担を負わせるのは適切ではない。負担を少しでも排除できるように定めたものだ。支払いに対しても内容を精査して、適正に処理している」と強調している。(池田哲平)
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