沖縄タイムス 社説
[橋下氏会見]「不快感」だけが残った
2013年5月28日 09時29分 (29時間39分前に更新)
旧日本軍の「慰安婦」制度を容認するものと受け止められた日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長の当初の発言は、いったい何だったのだろうか。
国際的な批判を浴びている渦中の橋下氏が27日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見した。前日に「私の認識と見解」と題する日本語版と英語版の文書を公表した橋下氏は、外国特派員らに向けてあらためて文書を読み上げ、「発言の一部が文脈から切り離され、断片のみが伝えられた」とメディア批判を繰り返した。
橋下氏は当初の発言内容から大きく軌道修正した。
今月13日、記者団に囲まれ、次のように語った。「銃弾の雨嵐のごとく飛び交う中で、命かけてそこを走っていくときに、そりゃ精神的に高ぶっている集団、やっぱりどこかで休息じゃないけども、慰安婦制度っていうのは必要だということは誰だってわかるわけですよ」
これに対し27日の会見で読み上げた文書では「戦場の性の問題は、旧日本軍だけが抱えた問題ではありません。『戦時においては』『世界各国の軍が』女性を必要としていたのではないかと発言したところ、『私自身が』必要と考える、『私が』容認していると誤報されてしまいました」とメディアに責任転嫁した。「誤報」と言い募る姿勢に説得力があるだろうか。
橋下発言の引き金になったのは歴史認識をめぐる安倍晋三首相の一連の発言である。
安倍首相はこの際、旧日本軍の関与と強制性を認めた1993年の「河野談話」に対する考えをあらためて国民に明らかにすべきである。
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橋下氏が共同代表を務める日本維新の会の国会議員らからは元「慰安婦」に対する暴言がやまない。
来日中の韓国人の元「慰安婦」2人が橋下氏との面談を政治利用されることを懸念して取りやめた。中山成彬代議士会長はツイッターで「化けの皮が剥がれるところだったのに残念」と書き込んだ。
平沼赳夫代表代行は講演で「従軍慰安婦と言われている人たちは『戦地売春婦』だ」と述べた。
西村真悟衆院議員(除名処分)は「日本には韓国人の売春婦がうようよいる」と発言した。
共同代表の石原慎太郎氏は「橋下氏は間違ったことは言っていない」といち早く擁護に回った。
聞くに堪えないような言葉が党幹部の口から次々に飛び出す。人権感覚、国際感覚が欠けていると言わざるを得ない。
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橋下氏は13日、米軍普天間飛行場の司令官に「もっと風俗業を活用してほしい」と進言したことを明らかにした。27日の会見では「米軍のみならず米国民を侮辱することにもつながり不適切な表現だった」と撤回し、謝罪した。
「在日米軍の綱紀粛正を徹底してもらいたい」というのが真意だと釈明したが、これまで何度、綱紀粛正という言葉が繰り返されてきたことか。沖縄の問いかけには何も答えていない。
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