2013年5月25日土曜日

橋下氏へ強まる逆風 それでも発言撤回せず(東京新聞) チラシ取らず・支持率が…橋下発言、選挙戦波紋(読売新聞)

東京新聞
橋下氏へ強まる逆風 それでも発言撤回せず    
2013年5月25日 朝刊

 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長による旧日本軍の従軍慰安婦発言に対する逆風が、一向に収まらない。韓国人の元従軍慰安婦二人は二十四日、予定していた橋下氏との面会を断った。党内では橋下氏に抗議し、夏の参院選の立候補予定者が出馬辞退を表明した。すべての混乱は、発言撤回を拒み続ける橋下氏の姿勢が招いている。 (冨江直樹、関口克己)

 「これまでの誤解を招く発言について、こちらの真意を伝えておきたかった」

 橋下氏は二十四日、大阪市役所で記者団に元慰安婦との面会中止を残念がり、在日米軍に風俗業活用を促したことに関しても「米軍や米国民は不快な思いをしたと思うので、おわびしたい」と初めて謝罪に言及した。

 橋下氏が元慰安婦側の面会の求めに応じたのは、当事者と直接向き合う姿を見せたかったためだ。報道陣に公開する予定だったことにも、世論の反発を和らげたかった思いがにじむ。

 だが、二人が十七日に来日してからも橋下氏は発言を撤回しない考えを繰り返した。二人は、面会は橋下氏による「謝罪パフォーマンス」になると判断し、最終的に断り、橋下氏の思惑は外れた。

 橋下氏は二十四日も記者団に「僕自身が慰安婦制度を容認したことはない」と釈明したが、そんな橋下氏に反発し、参院選比例代表候補に内定していた松本和巳元衆院議員(48)が同日、出馬辞退と政界引退を表明した。

 松本氏は国会内で記者会見し「女性蔑視の考え方は到底、受け入れられない。同じ党で仕事はできない」と橋下氏を強く批判。「前線で参院選を戦う候補にとって、味方に背中から鉄砲を撃ち込まれたようなものだ」と不満を隠さなかった。

 橋下氏は維新の生みの親で、党内の影響力は絶大。慰安婦発言に対し、直言型の石原慎太郎共同代表でさえ「発言するなら事前に言ってもらわないと困る」と周囲に不満を漏らした程度で、表立った批判はしていない。

 松本氏は維新の内情を「(橋下氏への)進言が見受けられないことにもどかしさがある。橋下氏中心に回り、ものが言いづらい」と指摘する。

 ただ橋下氏の発言後、みんなの党は維新との選挙協力を解消し、松本氏という立候補予定者の辞退も初めて出た。原因である橋下氏への党内の不満は確実に強まっている。

 橋下氏は二十七日に外国特派員協会で講演し、発言の釈明をする予定だが、ある党幹部は「その発言が、誤って海外に日本の右傾化と受け取られれば維新はおしまいだ」と不安がる。


読売新聞
チラシ取らず・支持率が…橋下発言、選挙戦波紋

 いわゆる従軍慰安婦を巡る日本維新の会の橋下共同代表の発言が、参院選や東京都議選を控えた同党の選挙態勢を揺るがしている。

 参院比例選に立候補する予定だった松本和巳元衆院議員(48)は23日、橋下氏の発言を理由に公認辞退と出馬を取りやめる考えを明らかにした。今後、出馬辞退の動きが広がる可能性もあり、同党は態勢の立て直しを急ぐ。

 ◆動揺広がる

 松本氏は23日、取材に対し、「橋下氏の慰安婦の発言に関して、私の政治信条と相いれない」と語った。松本氏は20日付の自らのブログで「女性に対する蔑視的な考え方は到底受け入れることはできない」と橋下氏を公然と批判していた。24日に記者会見し、出馬辞退を正式表明する方針だ。

 ほかの候補にも動揺が広がっている。

 参院比例選の候補の一人は、「支持率が下がっており、党から逃げたい気持ちはわかる。参院選の前哨戦の都議選も、散々な結果になるのではないか」と語った。都議選(6月14日告示、23日投開票)の公認候補の一人は、「街頭で、チラシを受け取ろうとした女性が『維新の会』と聞いて手を引っ込めるケースが出てきた」と頭を抱える。

 維新の会の松井幹事長は23日、大阪府庁で記者団に、松本氏の公認辞退について、「覚悟のない人は仕方がない」と突き放した。

 ただ、松井氏は同日の大阪市内の会合で、「本当に厳しい状況だ。支持率がどんどん落ちている」と危機感をあらわにした。橋下氏の発言については、「日本が世界の中でひどい誹謗ひぼう中傷をされることに言うべきことは言うのは当然だ」と擁護した。

(2013年5月24日08時41分  読売新聞)

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