Listening:<記者の目>2016参院選 その1票、どこへ?=倉重篤郎(論説室) - 毎日新聞 https://t.co/W7nqPdpnAI アベノミクスも眉唾 第一に政策破綻 第二に公約違反 第三に政策の果実の誇大広告とリスク隠し— 黙翁 (@TsukadaSatoshi) 2016年7月8日
「この道」引き返す好機に
安倍晋三首相は「この道しかない」と言う。「まだ道半ば」だとも言う。そのたびにうさん臭さを感じる。「この道」以外にも適切な道があると思うし、目標に到達できないことを「道半ば」と言い訳している。何よりも戦後歩んできた道とはあまりに異なる。あなた任せでリスクも高すぎる。この道を引き返そう。参院選はその好機にしたい。
外交・安保政策がいい例だ。・・・
(略)
経済・財政政策における「この道」、つまりアベノミクスも眉唾物になってきた。
第一に政策破綻である。異次元金融緩和政策がスタートしたのは2013年4月。「2年間で物価上昇率を2%にする」という予定だったが、一向にその気配はなく、今では17年度中(18年3月まで)に目標年次は先送りされた。つまり、2年間が5年間に変更され、なおかつ達成見込みが疑われているのである。「道半ば」という状況ではない。「政策の失敗」を認めるべき時だ。
第二に公約違反である。あれだけ確約していた消費税増税を再延期した。社会保障や税制といった中長期的観点から構えられた政策が、景気に水を差すという短期的視野からいとも簡単に放棄された。それだけではない。民主党政権時に自公民3党が侃々諤々(かんかんがくがく)の議論の末到達した「税と社会保障の一体改革」合意もまた葬られてしまった。消費税をめぐる政争の激しさを見てきた政治記者としては、良質な政治資産が愚策の犠牲になった気がしてならない。
第三に政策の果実の誇大広告とリスク隠しである。
安倍首相が強調するのは、21兆円の税収増であり雇用の改善である。21兆円という数字はかさ上げが過ぎる。リーマン・ショックと東日本大震災によって谷底に落ち込んだ12年度比の増収で、第1次安倍政権の07年度比ではほぼ同じ税収である。とても胸を張るべき数字ではない。雇用改善は歓迎するが、これだけの人手不足の時代、当然のなりゆきでもある。問題はリスクを全く語らないことだ。異次元緩和により日銀が330兆円もの国債を抱え込み、政策の自由度を失っている。その出口をどうするか、どんな問題が生じるか。そろそろ国民に率直に語るべきである。
(略)
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