2013年7月11日木曜日

韓国高裁、植民地時代の強制労働で新日鉄住金に賠償命じる 韓国司法に世論重視の流れ

ロイター
韓国高裁、植民地時代の強制労働で新日鉄住金に賠償命じる
2013年 07月 10日 20:10

[ソウル 10日 ロイター] - 韓国のソウル高等裁判所は10日、旧新日本製鉄(現・新日鉄住金(5401.T: 株価, ニュース, レポート))に対し、1910―45年の日本の植民地時代に韓国人従業員に強制労働させたとして、韓国人4人に各1億ウォン(8万8000ドル)の賠償金を支払うよう命じた。

高裁は「新日鉄は日本政府とともに侵略戦争のために働かせるべく労働者を強制的に動員し、人道に対する罪を犯した」との判断を示した。

新日鉄住金は判決を不当として上告する方針を示した。


毎日JP
元徴用工訴訟:韓国司法、世論重視の流れ
毎日新聞 2013年07月10日 22時00分(最終更新 07月11日 01時09分)

【ソウル澤田克己】ソウル高裁が10日、戦後補償問題で日本企業に賠償を命じる判決を出したことは「韓国の司法が日韓関係を悪化させている」(日本政府関係者)という日本側の不信感をさらに高めそうだ。

日本側が問題視しているのは、韓国政府が従軍慰安婦問題の解決に向け努力をしていないのは「違憲」とした憲法裁判所判断(2011年8月)▽1965年の日韓請求権協定でも個人の損害賠償請求権までは消滅していないとする最高裁判断(2012年5月)−−などだ。

原告側弁護士によると、韓国で係争中の元徴用工の訴訟は、今回のものを含めて6件ある。さらに昨年、終戦後もサハリンに残された韓国人らが、未精算の貯金返還問題で韓国政府の不作為を違憲だと提訴。これらも、日本側の法解釈とは違う判断が下される可能性がある。背景には、1987年の民主化以降に、65年の日韓国交正常化の際に正当な扱いを受けなかったものとして、元慰安婦や元徴用工の権利主張が強まってきた。

こうした司法判断は、韓国内の事象にも適用されている。憲法裁は今年3月、故朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が出した政治的集会の禁止令について、現行憲法を基準に「違憲」とする決定を出した。

韓国の司法は世論の大きな流れに従って判断を変える傾向があるため、日韓関係を揺るがすような司法判断が出る可能性も否定はできないのが現状だ。


聨合ニュース
韓国高裁 強制徴用問題で新日鉄住金に賠償命じる
2013/07/10 15:46 KST

【ソウル聯合ニュース】1940年代に日本に強制徴用され、過酷な労働を強いられながらも賃金を支払われなかった韓国人被害者らに対し、新日鉄住金(旧新日本製鉄)に賠償を命じる判断が韓国で示された。戦後の補償問題で韓国の裁判所が日本企業に賠償を命じたのは初めて。

ソウル高裁は10日、80~90歳の原告4人が新日鉄に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審で、同社に原告1人当たり1億ウォン(約880万円)と遅延損害金の支払いを命じる原告一部勝訴の判決を言い渡した。

原告の4人は1941年から43年にかけ、新日鉄の前身に当たる日本製鉄の募集担当者に十分な食事と賃金を保障し、技術も習得できるなどと懐柔され、日本に渡ったが、大阪製鉄所などで自由のないままつらい労働を強いられ、賃金もきちんと支払われなかったとして、2005年に1人当たり1億ウォンの慰謝料を求め韓国で訴訟を起こした。

原告のうち2人は1997年12月、新日鉄を相手取り賃金の支払いと違法行為による損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしたが、敗訴した。この判決は2003年10月に最高裁で確定した。

韓国での訴訟では、一審、二審ともに「日本の確定判決は韓国でも効力が認められる」として原告敗訴の判決を下した。

日本で訴訟を起こしていない残りの原告2人に対しても、「旧日本製鉄の違法行為は認めるが、旧日本製鉄は新日鉄と法人格が異なり、債務を継承したとは見なせない」として同じ判断を示した。

しかし、韓国大法院(最高裁に相当)は昨年5月、「日本の判決は日本植民地時代の強制動員そのものを違法と見なしている韓国の憲法の中核的な価値と真っ向から対立する。こうした判決をそのまま承認することは、韓国の善良な風俗やその他の社会秩序に反する」として、原告敗訴の判決を取り消し、ソウル高裁に審理を差し戻した。

大法院は併せて、旧日本製鉄と新日鉄の法的同一性を否定した原審の過ちを指摘し、1965年6月に締結された韓日請求権協定により個人の請求権も消滅したとは見なし難いと判断した。







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