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肝いり公募区長が“ブレーキ” 学校選択制 橋下市長いらだち募る
2013.4.6 21:48
橋下徹大阪市長が市長選公約で掲げた市立小中学校の学校選択制について、市長から導入の判断を一任された24区の公募区長の足並みが乱れた。市長が目指す平成26年度導入を決めたのは11区にとどまり、12区は「住民の理解が得られていない」などと先送りし、1区は結論が出ていない。市長肝いりの区長が公約の早期実現にブレーキをかけた形で、市長はいらだちを募らせているようだ。
■「説得する姿勢が弱い」
「住民から言われるままで、住民の理解を得るために説得するという姿勢が弱い区も目立った」
橋下市長が3月28日に区長たちに送ったメールには、学校選択制の早期導入を決めなかった区長たちへの不満が記されていた。
市長は学校が切磋琢磨(せっさたくま)し、特色ある学校づくりが進むとして、26年度に導入することを原則として掲げた。「地域の実情を踏まえる必要がある」として住民に近い公募区長に判断を委ねる姿勢を表明していたが、最終的な判断を固める時期だった3月上旬には区長たちに繰り返しハッパをかけていた。
「目の前の住民の反対の声が大きいからやりません、では公募区長の意味がありません」
だが各区が3月22日~27日、市教委の承認を得て出した結論は半数が先送り。市長の“期待”を大きく裏切るものだった。
■完全自由選択は1区のみ
導入を決めた11区でも、6区が小学校での導入を先送り。小学校に導入する5区のうち西淀川区など3区は、居住する校区と隣接する校区のみが選択対象になった。
また住吉区では小学校について通学距離を2キロまでに設定。これらの区は通学路が長くなることで子供の安全確保が難しくなることなどを理由に挙げた。
24区内で唯一、小中とも区内全校から選べる完全な自由選択を採用したのは中央区のみだった。
昨年の保護者アンケートの結果は、小学校については半数が導入反対だったが、柏木陸照(みちてる)区長はその後にPTAなどと意見交換を重ねたといい、「当初は『もし地元校に人気が集中したら定員オーバーで通えなくなる』という誤解があったが、地元校への通学は優先されると分かると賛同してもらえた」と話す。
■「環境整備が先」
小中で導入を先送りした区にも言い分がある。阿倍野区の羽東良紘区長は「親や子供が学校を選ぶ制度を機能させるためには、導入前に各学校が特色づくりを進めて、適切に情報発信できる環境を整えるべきだ」と主張。1学年に1クラスしかない小規模校を複数抱える浪速、西成の両区は「学校の統廃合を進めることが最優先」としている。
公募区長就任の際に「個性豊かな区政運営で24区を24色に染めてほしい」と呼びかけた橋下市長。4月1日の所属長会議では一転、区長にこうクギをさした。
「僕が大きな方針を出しているのに、てんでばらばらに、勝手にオレはこうだ、うちの区はこうだと言っているのはだめだ」
■学校選択制 公立の小中学校に進学する際、行政区内で希望する校区外の学校を選べる制度。国の規制緩和策の一環で、行政区内の全校から選べる「自由選択制」や、隣の校区の学校だけを選べる「隣接区域選択制」などがある。内閣府による平成20年度の調査では、導入している自治体は小学校で12・9%、中学校で14・2%。
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