消費増税の目的の大きな懸念が広がっている。
それは、「残った財源」を「財政健全化」に充てるのではなく、「大幅な公共投資」に振り向けようとするもの。
シロアリどころか、ハイエナだ。
逆に、財務省がけしかけた財政破綻は、純真な国民を騙す脅迫に過ぎなかったことが露呈したことにもなる。
消費増税:
(1)元来、これは民主党の公約違反。
(2)格差が拡大している状況下での大衆増税。
(3)そして、ここにきての増税目的のインチキ。
「日経ビジネス」7月30日が報じる問題点。
<転載>
消費増税が生む「放漫財政」
社会保障と税の一体改革法案審議が終盤にきた。
消費税収の一部を公共事業に”流用”する動きが広がる。
消費増税が放漫財政につながっていく恐れが出てきた。
17年ぶりの消費税率引き上げが実現に向けて動く中、増税後の税収の使い道を巡って早くも懸念が広がり始めている。
消費税自体は、社会保障のための目的税とするが、税収増によって社会保障費でこれまで借金に頼っていた部分が減るのを当て込み、ほかの予算に使おうという動きに対してだ。
社会保障目的税としての建前は保つものの、社会保障機能の維持のために国債発行を減らし、財政再建に充てるとしていた部分を”流用”することになるとも言えるもの。
社会保障と税の一体改革を動かした民主、自民、公明の3党合意の底流に潜んでいた、3党それぞれの思惑が徐々に表に出てきた格好であり、今後、消費税引き上げなど一体改革関連法案の審議や議論に相当な影響を及ぼすと見られる。
中でも最も大きいのは、防災や減災をテーマにした公共工事への支出の動きだ。
自民党は既に「国土強靭化基本法」案を国会に提出し、公明党も同様の法案を準備。防災・減災目的を理由に両党とも歳出増が党内の大きな流れになっている。
「(国土強靭化法を)次の総選挙で勝つための種にしようとしているかのようだ」。
自民党のある若手議員はこう言って強く反発するが、それも「党内ではごく少数。異端扱いされている」と嘆く。
しかも、その額は10年間で200兆円とさえ言われる。
自民党自身は「党では決めていない」(林芳正・党政調会長代理)と否定するが、強靭化法案では「当初3年間で計15兆円を投じる」としており、1年当たりではこれだけでも消費税約2%に相当する巨費となる。
公明党の案も同様に10年間で100兆円の防災・減災投資を検討しているとされるが、「放漫財政」の現実味が増している理由はそれだけではない。
民主党幹部も自公両党と、意を同じくし始めてきたためだ。
「公共事業は減らしすぎた」と自民
「消費税引き上げで(従来国債で賄っていた部分に)少し余裕ができる。それは成長に使ってもいいのでは」。
参院で一体改革関連法案の審議が本格化した7月半ば、ある民主党税制調査会幹部はこう漏らした。この民主党幹部は一体改革関連法案策定まで長く、消費税上げによる財政再建を唱えてきたが、6月の3党合意を経て「余裕ができた」と考え始めたようだ。
仮に200兆円としても年間で20兆円。これは総事業費だから、「(国費として支出する)真水は概算で10兆円程度」(ある財務官僚)になると見られるが、それがすべて新たな予算になるのか、従来の公共事業を含むものになるかによっても歳出額は全く変わる。
例えば、2012年度当初予算の公共事業費は約5兆3000億円。これに上乗せするとしても、やはり消費税で約2%分(約5兆円)を回すことになる。
自民党内では1997年度に当初予算で約9兆7000億円あった公共事業費が5兆円へほぼ半減したのを「減らしすぎた」とする声が強く、公明党内にも低年金者への加算などを自党のリードで進めたい思惑がある。
防災や減災は、「国民の反対が出にくい分野」(冒頭の自民党若手議員)であることも影響している。
民主党はそうした自公両党への配慮から消費税引き上げによる税収増の一部を実質的に公共事業に使う方向に転じつつあるのだろう。
政府は財政再建の目安となるプライマリーバランス(財政の基礎的収支)の赤字を2015年度に半減、2020年度に黒字化させることを公約としてきた。だが、消費増税分の事実上の流用が拡大すれば、その大幅先送りの可能性が出てくる。(編集委員 田村賢司)
<転載終り>
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