2012年7月8日日曜日

福井県 原発に近づく避難経路 広域避難の連携も見えない

福井新聞
原発に近づく避難経路に疑問の声 福井、広域避難の連携見えず
(2012年7月8日午前7時16分) 

 「嶺南から滋賀県や京都府につながる避難経路の確保など、広域的でより現実的な避難方法を国と協力して早急に取りまとめるべきだ」
 県会が関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を事実上容認した6月14日の全員協議会。各会派からは、原発の過酷事故に備えた広域的な住民避難の整備を求める意見が相次いだ。6月定例県会でも同様の声が出ている。
 東京電力福島第1原発事故を教訓に、国は防災対策の重点地域を「緊急防護措置区域(UPZ)」として30キロ圏に拡大する方針だ。県内では福井や鯖江市のほか、京都や滋賀、岐阜3府県の一部も含まれる。
 しかし、具体的基準や対策の中身は原子力規制委員会の発足後に持ち越され、国は都道府県をまたぐ住民避難の広域調整についても方針を出していない。広域避難には隣府県との連携が不可欠だが、県は「今後国が示す方向性を見ながら相互に協力する」(西川知事)と繰り返すだけで、動きは鈍い
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 県は原子力防災計画の見直しを進め、まず原発立地、隣接の7市町を対象とした住民避難の暫定案をまとめた。集落単位で、30キロ圏外を想定した県内他市町への避難先を選定。福島の事故時の実態を考慮して原則マイカーを使い、5キロ圏の住民が優先的に逃げる
 しかし「避難が長期化した場合の行政支援の継続」の観点から、今のところ県外避難は考慮していない
 例えば、美浜原発で事故が起きた場合の若狭町民の避難先は越前町。大飯原発での事故時に高浜町からは敦賀市へ避難するとされている。住民は避難する際に、原発に近づく経路をたどる。
 県は「外部で放射線量が高くなるまでには、避難は完了できる」(川上修司危機対策監)との考え方。交通量などを基に試算した避難完了時間は最長で10時間半。福島の事故で原子力緊急事態宣言から放射性物質が放出されるまでは約15時間かかっており、それを下回るとする。
 しかし、住民、市町には疑問の声が強い。
 滋賀県高島市に隣接する若狭町熊川の竹下清太郎区長(63)は「越前町への避難を考えるのは不可能。美浜町内を走るころ、滋賀方面に逃げていれば(30キロ圏の)高島市を抜けているし、よっぽど安全」と指摘する。
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 他の原発立地県では、広域避難を独自に模索する動きが出ている。
 中国電力島根原発を抱える島根県の溝口善兵衛知事は昨年10月、中国地方5県知事会で避難受け入れの協力を要請した。県内30キロ圏の4市の避難先として広島、岡山、山口県などの市町村に避難所調査を依頼。秋をめどに避難計画を策定する方向だ。島根県原子力安全対策課避難対策室は「本来は国が調整すべきだが、隣県は協力的だ」と語る。
 北陸電力志賀原発のある石川県の谷本正憲知事は5月、富山県の石井隆一知事と会談し、避難受け入れの協力を求めた。石井知事は「体制を整える」と応じ、原子力防災対策の連携強化で一致。6月9日には両県合同で原子力防災訓練を行った。
 一方、本県と京都、滋賀両府県の協議は始まっていない。「再稼働問題でしこりが残っている。福井県側から話しにくいのか、一切連絡がない」とは京都府防災・原子力安全課の木村兼喜参事。大飯3、4号機の再稼働をめぐるあつれきが関係を冷え込ませているとの見方だ。
 木村参事は「広域避難は府県間だけでも話し合える」と話す。関西広域連合でも福井県住民の避難を考慮する議論が出ているという。
 経済産業省原子力安全・保安院は、原子力規制委の発足を待たずに広域避難を調整する体制を整える考え。原子力防災課は「福井県から相談があり、滋賀、京都との検討の場を設けるよう調整したい」とも説明する。ただ、具体的な時期は「調整中」とするだけだ。
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フクシマから何を学んだのか


すぐに原発、止めんとアカン*

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