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平均年収291万円、母子世帯の厳しい実態
60.1%が養育費を取り決めていない現状も
加藤 秀行、 サイトウ イサム 2012年10月14日 16:00
母子世帯の厳しい生活環境が明らかに。養育費を受け取らず、母ひとりで子供を育てる母子世帯が多数を占めている。
厚生労働省は9月7日に、「平成23年度全国母子世帯等調査」の結果を公表した。この調査は約5年ごとに実施されており、今回は平成23年11月1日時点について調査されたもの。対象となった母子世帯は2,257世帯で、そのうち1,648世帯から有効回答を得た。なお、東日本大震災の影響により、平成23年度は岩手県、宮城県、福島県について調査を実施しておらず、集計結果もこれらを除いたものとなっている。
調査結果によると、平成23年度の母子世帯数の推計値は123万8,000世帯で、前回調査をした平成18年11月1日時点より、8万7,000世帯増加した。ひとり親世帯になった理由は、離婚が80.8%で前回調査より1.1ポイント増加、一方、死別は7.5%で2.2ポイント減少した。
就業状況についてみると、80.6%が就業しており、そのうち正社員雇用が39.4%で、47.4%がパートアルバイトなどとなっている。また、母の平均年間就労収入は181万円(前回調査時は171万円)で、生活保護などを含めた世帯の平均年間収入は291万円(前回調査時は213万円)だった。
多くの母子世帯が離婚を機にひとり親世帯となり、不安定な就業環境の中、少ない収入で何とか生活している状況が浮き彫りになった。
調査では、離婚によるひとり親世帯の養育費の状況もまとめている。それによると、養育費の取り決めをしている母子世帯は37.7%にとどまり、取り決めをしていない母子世帯は60.1%に達した。
養育費の取り決めをしていない理由について聞くと、最も多かったのが「相手に支払う意思や能力がないと思った(48.6%)」で、以下、「相手と関わりたくない(23.1%)」「取り決めの交渉をしたが、まとまらなかった(8.0%)」と続いた。中には、「相手に養育費を請求できるとは思わなかった(3.1%)」という答えもあり、養育費に関して話し合うことなく離婚に至るケースも多いようだ。離婚した父親から養育費を「現在も受けている」母親は19.7%にとどまっており、その平均月額は4万3,482円だった。
離婚による母子世帯が増える中、養育費を受け取らずに、母親ひとりで子供を育てる母子世帯が多いことが分かる。離婚は、双方の話し合いの結果ではあるものの、厳しい現実を招いているケースもあるようだ。
沖縄タイムス
[母子世帯調査]働いても貧困、なぜ?
2012年10月7日 09時55分
働くシングルマザーの半数がパートやアルバイトなど非正規雇用で、母親自身の平均就労年収は181万円。児童扶養手当や同居親族の収入などを含めても世帯年収は291万円で、子どもがいる一般世帯の44%にとどまる-。
厚生労働省が公表した「2011年度全国母子世帯等調査」は、ひとり親世帯の厳しい暮らしぶりを浮き彫りにする。5年に1度の調査から見えるのは、想像を超える深刻な現実だ。
日本のひとり親世帯の貧困率は54・3%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でも最下位の水準にある。一方で、シングルマザーの就労率は80%を超え、上位に位置する。
ひとり親のため大黒柱として働かなければならないが、小さな子どもがいるので、仕事の内容や時間が制約される。子どもの病気や学校行事で仕事を休むことが許されない企業風土が、正社員への道を閉ざす。よって賃金の低い臨時やパートなどの仕事を続けざるを得ない。
「働かないから貧困」ではない。昼夜仕事を掛け持つダブルワークなど「働いているのに貧困」というのが、日本のシングルマザーが置かれている状況だ。
厚労省の調査からは同じひとり親でも、父子家庭の父親の67%が正規雇用で、母子家庭の39%とは大きな開きがあることも分かった。
労働環境における女性の地位や男女の賃金格差が、「働いているのに貧困」という特異な状況をつくり出している。
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シングルマザー自身の変化に目を向けたい。
母子世帯になった理由は、「離婚」が8割を超え圧倒的に多いが、今回の調査で初めて「未婚の母」(7・8%)が、「死別」(7・5%)を上回った。
シングルマザーの平均年齢は33歳と前回より1歳近く若くなった。そのうち3割が20代で母子世帯となるなど若年化も顕著である。
変わらなかったのは父親からの養育費の支払いで、20%と横ばいだった。
非婚の母子世帯には適用されない所得税法上の「寡婦控除」など、結婚を前提とした社会保障制度に苦しめられている人は多い。
セーフティーネットからもれ、父親からの援助もなければ、頑張っても自立は難しく、社会的不利が世代を超えて引き継がれかねない。
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県内の母子家庭の比率は全国の2倍と高い。そんな中、県がシングルマザーらを対象に実施した在宅就業支援が、想定した成果を生まず批判されている。3億円もの税金を投入しながら、パソコンを使った「デジタル採点」など学んだ技能で得られる月収は大半が1万円以下だった。
シングルマザーらが訴えているのは、子どもとの時間を大切にしながら生活できる賃金が保証される仕事であり、それを後押しする政策だ。
当事者が求める学童保育料の減額などは本気を出せば取り組める課題だと思う。母子家庭の貧困が、政策の貧困にあることを自覚してほしい。
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10月18日「朝日新聞」夕刊「素粒子」が言う。
女性の社会進出が日本を救う。
IMFのラガルド氏がNHKに出演し。
それにしてもこんな女性指導者がほしい。
IMFは、女性をもっと雇用し、平均賃金を下げなさい、と勧告しているんだってことを忘れてはいけない。
女性の国会議員を増やそうとか、会社の役員に登用しよう、とかいうのとは、
完全に別のストーリーだということを忘れてはいけない。
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同じような、表面と中味のすり替えは「40歳定年制」にもある。
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