2012年10月28日日曜日

代替エネルギー関連の特許、日本が世界の55%を占め圧勝(日本経済新聞)

日本経済新聞
代替エネルギー関連の特許、日本が世界の55%を占め圧勝
2010/10/25 7:00

 知的財産権の保護などを目的に設立された国連の専門機関、WIPO(World Intellectual Property Organization)が発行した報告書に、エネルギー関連業界の注目が集まっている。その名称は「Patent-based Technology Analysis Report-Alternative Energy Technology」[注1]。2009年までのデータを基に、化石燃料を代替するエネルギーに関連した特許について世界的な動向を調べ、まとめたものである。

 対象とした特許の分野は、太陽光発電、風力発電、バイオエネルギー、地熱発電、CCS(二酸化炭素の回収・貯留)など。ジャフコの米国子会社であるJAFCO America Ventures社で社長兼CEOを務める菅谷常三郎氏は、この報告書のデータを見ることで、代替エネルギーに関する日本の技術開発が「世界の中でも突出している」(同氏)ことが分かると指摘する。

手放しでは喜べない

 同報告書によると、代替エネルギーに関する日本の特許(日本で出願された特許の数)は世界の中で55%を占めている(図1)。太陽光発電に至っては68%にもなっており、代替エネルギーに関する日本での技術開発が盛んなことが特許の面から分析できる。

代替エネルギーに関する特許の地域別の割合
これまでに各地で出願された関連特許を地域別に集計した。
ここでの「国際出願特許」とは、PCT(特許協力条約:Patent Cooperation Treaty)に基づくものを指す。
一つの特許出願願書を規定にしたがって提出することで、
PCT加盟国(140カ国以上)すべてに同時出願したのと同じ効果が得られる仕組みである。

 問題は、これらの技術が「世界の投資に結びついていない」(菅谷氏)ことである。世界のエネルギー関連投資を国別に分析すると日本は世界の20分の1にすぎず、55%も占める特許を生かせているとは言い難い状況だ

 このような「宝の持ち腐れ」を打開するために、公的な組織が動きを加速し始めた。特に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や日本貿易振興機構(JETRO)が、日本企業の海外進出をサポートしようと活発に動いている。

 NEDOは既に米国ニューメキシコ州でスマートグリッドの実証実験を始めているが、ここに来て仏リヨン市とも提携した。中国とも連携を強化しようとしている。現在、水面下で動いているプロジェクトも多数あり、年末までにいくつもの提携案件が明らかにされる可能性が高い。こうした実証実験を通じて、日本の代替エネルギー特許を世界標準にいかに盛り込み、その後の展開を有利に進めるかが課題である。

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