埼玉新聞 2012年10月24日(水)
秩父のシカ肉から800ベクレル超のセシウム検出 県が出荷自粛要請
県は23日、秩父市浦山で21日に捕獲された野生のニホンジカ(雌)の肉から、基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を大きく上回る820ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。野生動物で基準値を超えたのは県内で初めて。県はニホンジカの食肉を取り扱う業者に対し、県下全域で出荷・販売の自粛要請をするほか、近隣市町村を通じて住民に肉を食べないよう注意喚起を行う。
県は福島第1原発事故を受けて、狩猟期が始まる11月15日までをめどに、県猟友会や秩父市などと協力して野生動物(イノシシ、ニホンジカ)の放射性物質検査を実施している。本年度はこれまで10検体(8月29日~9月30日に捕獲)を調べたが、イノシシは34ベクレル、ニホンジカは22ベクレルが最高値だった。今回の820ベクレルは突出して高い。
県自然環境課は「文部科学省の航空機モニタリング調査では、捕獲された場所の周辺は比較的放射線の沈着量が高い場所。落ち葉などを継続的に捕食したことで、体内にセシウムが蓄積されて高濃度になったのではないか」とみている。
同課によると、県内で捕獲されるニホンジカは、有害鳥獣捕獲と狩猟を合わせて年間約1500頭。本年度は有害鳥獣捕獲の一部が食肉として使われた可能性もあるという。県は今後も野生動物の肉について検査を実施する。
他県では、岩手県陸前高田市で8月に捕獲された野生のニホンジカの肉から、584ベクレルのセシウムが検出されている。
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