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森永卓郎が嘆き、怒る!「消費増税で日本は低福祉・重税国家になり、庶民は切り捨てられる」
週プレNEWS 10月24日(水)10時10分配信
「1930年代、ヒトラーが出てきた時代とものすごく似ていて、非常に危険です」と憤る森永氏
「弱いヤツは死んでしまえというのか! 庶民狙い撃ちの増税だ」
消費増税を前にして、嘆き、怒る、経済アナリストの森永卓郎氏。そこにもはやモリタク・スマイルはない。本当に増税は必要なのか、モリタク氏が斬る!
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デフレのいま、なぜ消費税を上げるのか、私にはまったくわかりません。
消費税だけでなく、すでに今年6月から年少扶養控除廃止による増税が始まり、来年からは復興増税もある。
厚生年金保険料は毎年0・354%ずつ引き上げられ、健康保険料もおそらく毎年0.5%ずつ上がっていく。
さらに、東京電力の電気料が平均8・46%値上がったことで、ほかの電力会社にも波及していくでしょうね。
そうした負担を全部足すと、年収500万円、子供2人の標準世帯では3年間、毎年約10万円ずつ手取りが減っていく計算になります。『週プレ』読者たちは、もっと負担が増すはずですよ。
しかも、東日本大震災の復興需要が切れるときですから、経済が失速するのは目に見えている。
1997年の橋本龍太郎内閣は、阪神・淡路大震災の復興需要が切れるときに消費税を3%から5%へ、サラリーマン医療費の自己負担を10%から20%に引き上げ、特別減税を廃止するという9兆円の国民負担増政策をやりました。
そこから15年間、デフレになって資産価格は半減、株価も地価も半分になったでしょ。
自殺者は2万人台から3万人台へ激増。
非正社員の割合は全体で3分の1、若者では半分。
日本社会はガラッと変わってしまったんです。
今回は、さらに大規模な国民負担をぶつけるわけですから、これで経済が失速しないという人は、何を根拠に言っているのかまったくワケがわからない。
弱っているときに増税しちゃダメだというのは、常識中の常識ですよ。
税収だって増えるとは限りません。税収を上げることだけを考えたら、いくらでもやり方はあります。例えば、企業に社会保障税を課す。先進国でこれをしてないのは日本ぐらいでしょう。
海外の消費税はもっと高いといいますよね。確かに、標準税率でいえば、現状で日本が5%、高いといわれるスウェーデンが25%と5倍も高い。しかし、税収全体に占める消費税の割合は、実は日本のほうが大きいんです。これで消費税を10%に引き上げたら、日本は世界一の重税国家になることは間違いない。
こんな無意味な増税、私はわざと恐慌を起こすためにやるんだと思うんです。
中小企業や個人を追い詰めて、キャッシュリッチの人たちが体力の弱い企業を買収し、不動産を買い占める。
野田佳彦総理の背後にいる大金持ちたちが、そのために日本経済を壊滅させようとしているんじゃないですかね。
そもそも個人会社を持ち、なんでも経費で落とす金持ちは、消費税なんて払わない。
経費で払った消費税は控除されますから。
金持ちは消費税を払わない上、貯蓄の比率が高く、消費の比率が低い。
一方、年収200万円台のビンボー人は貯蓄できずに8割以上を消費につぎ込む。そこにまるごと消費税がかかってくれば、生活水準がダイレクトに下がる。
結局、やっていることは金持ちの減税と庶民の増税。
1930年代、ヒトラーが出てきた時代とものすごく似ていて、非常に危険です。
同じような改革は79年、イギリスのサッチャーがやっています。所得税の最高税率を83%から60%に引き下げて金持ちを優遇する一方、消費税率は8%から15%にほぼ倍増させた。それまで世界一流の福祉国家だったのに、一気に超弱肉強食社会になった。
赤ちゃんを抱いたお母さんが「あなたはこの子からミルクを奪う気ですか?」と質問すると、サッチャーはこう答えました。
「子供にミルクを与えるのは政府の責任ではありません。あなたの責任です」
日本もいま、これと同じ社会に向かっています。
消費税増税によって、貧乏人は死ぬまで働かされ、わずかな賃金も税金でごっそり持っていかれますよ。
(取材・文/宮崎俊哉 山田美恵 中島大輔)
●森永卓郎(もりなが・たくろう)
1957年生まれ、東京都出身。獨協大学経済学部教授。『庶民は知らないデフレの真実』(角川SSC新書)など著書多数
(段落、改行を施した)
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