2012年10月7日日曜日

オスプレイ 合意? ルール? そんなの関係ないとばかり、市街地、学校、保育園の上空を飛行

毎日JP
オスプレイ:繰り返しルール違反の疑い 批判高まる
毎日新聞 2012年10月06日 23時27分(最終更新 10月07日 02時04分)

 オスプレイ12機の米軍普天間飛行場への配備が完了し、政府はひとまず安堵(あんど)している。墜落事故の影響で配備時期が一時、見通せなくなったからだ。だが、配備が始まった今月1日以降、沖縄では、日米両政府が9月に交わした運用ルールに違反する飛行をしているとの批判が高まった。

 政府はルールを順守するよう米側に求めてきたが、その多くに「できる限り」「可能な限り」などの前提が付いている。このため実際の運用は米側の裁量に多くを委ねざるを得ず、政府の対応は手詰まりになっている。

 防衛省幹部は6日、「ようやく配備され、ほっとした」と語った。米側は当初、7月下旬にもオスプレイを普天間飛行場に配備する予定だったが、4月にモロッコで、6月には米フロリダ州で墜落事故が発生。その原因調査などに時間がかかり、配備開始が約2カ月ずれ込んだからだ。

 一方で、普天間への配備が始まると、地元住民や自治体から「日米合意が守られていない」との指摘が相次ぐようになる。防衛省にも「現場の兵士に、日本国内の厳しい空気が伝わっていないのではないか」(幹部)との見方が出ている。

 違反が指摘される一つは「飛行モード」。日米両政府はオスプレイが「転換モード」で市街地上空を飛ぶ時間を短縮するため、それに切り替える前後の「ヘリモード」を原則、米軍施設・区域内に限った。墜落事故は転換モードで飛行中に起き、沖縄に不安が広がったためだ。森本敏防衛相は「明確な違反があれば米国に指摘する」と強調するが、運用は実質的に米側に委ねるしかないのが実情だ。【朝日弘行】

 ◇日米両政府が合意しているオスプレイの主な運用ルール
▽低空飛行訓練 地上500フィート(約150メートル)以上で飛行する。ただし、安全性を確保するため地上500フィートを下回らざるを得ないこともある。原発、史跡、人口密集地域、学校などの上空を飛ぶことは避ける。

▽飛行コース 米軍施設・区域の周辺では、学校や病院を含む人口密集地域の上空をできる限り避けて設定する。可能な限り海上を飛行する。

▽飛行モード 必要な場合を除き、回転翼を上に向ける「垂直離着陸モード(ヘリモード)」での飛行は米軍施設・区域内に限る。回転翼を前傾させる「転換モード」での飛行時間は可能な限り短くする。

▽夜間飛行訓練 任務の達成や、要員の練度維持に必要な最小限度に制限する。
日米両政府が合意しているオスプレイの主な運用ルール


普天間飛行場への着陸直前、保育園のほぼ真上を飛ぶオスプレイ=
沖縄県宜野湾市大謝名3のこがねの森保育園で
2012年10月6日午後2時44分、福永方人撮影



オスプレイ:ごう音、保育園にも 低空飛行にため息
毎日新聞 2012年10月07日 01時20分(最終更新 10月07日 01時29分)

 沖縄に今年配備予定のオスプレイ12機が6日、「世界一危険な飛行場」と言われる米軍普天間飛行場にそろった。今後、本土での低空飛行を含め、訓練が本格化する。普天間の地元・宜野湾市上空をオスプレイが我が物顔で飛ぶ姿に沖縄県民は恐怖と反発を強めている。【福永方人】

 「ドドドドドドド」。青空を切り裂く重低音に気付いて南の空を見上げると、両翼にプロペラを備えた灰色の機影が低空飛行で近づいてきた。

 普天間飛行場の南東約700メートル、滑走路の延長線上にある「こがねの森保育園」(宜野湾市大謝名3、園児110人)。6日午後2時40分ごろ、米軍岩国基地(山口県)から普天間飛行場に飛来したオスプレイ3機のうちの1機目がほぼ真上を通過した。「来た来たー」「えー、あんなに低いの」。女性保育士たちが園舎2階のベランダに出て、思わず声を上げる。園庭にいた約10人の園児も上空を指さし、「オスプレイだー」と叫んだ。

 残りの2機も午後2時50分ごろまでに同じルートを通った。3機とも回転翼(ローター)を上に向けた「垂直離着陸モード」か、斜め前に向ける「転換モード」だった。両モードでの飛行は原則、米軍基地や区域内に限るなどとした日米合意の運用ルールに違反している可能性が高い。

 「やっぱりすごい音ですね」。岡本順子園長はため息まじりに言った。同園ではこれまでも、真上を飛ぶ米軍ヘリの騒音で園児が昼寝中に起きたり、耳をふさいだりしていたという。「オスプレイが来てもっとうるさくなったら、子供たちへの影響が心配。事故への不安も大きく、何とかしてほしい」と訴えた。

 普天間飛行場周辺には保育園や幼稚園が点在し、オスプレイの騒音や墜落への不安が広がっている。

 市立宜野湾保育所(宜野湾市宜野湾3、園児140人)は同飛行場の南約300メートル、04年に米軍ヘリが墜落した沖縄国際大の前にある。連日のようにオスプレイが近くを飛ぶ。川畑美佐子所長は「従来のヘリよりうるさいし、事故の危険性は保護者たちもかなり気にしている。近くに落ちたら、たくさんの子供をきちんと避難させられるか不安です」と戸惑いを隠せない。

 一方、普天間飛行場の野嵩(のだけ)ゲート前では、配備反対の座り込みは5日で終了したが、6日も朝から約10人の住民らが「OSPREY NO!」「普天間基地いらない」と書かれたボードなどを掲げ、抗議の声を上げた。

 宜野湾市真栄原の居酒屋経営、兼村憲彦さん(54)は「あんな大きい飛行機が落ちたらと思うとゾッとする。何もしなければ日米両政府にやりたい放題やられるだけなので、粘り強く訴えていくしかない」と話した。

▼共同通信

▼朝日新聞





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