手賀沼のフナ(3月10日漁獲)から400ベクレル/キロが検出され、出荷自粛となった。
東京新聞TOKYO Webの記事
「手賀沼のフナ出荷自粛 モツゴに続き要請 新規制値超セシウム」
2012年3月20日
<引用>
県は十九日、手賀沼で水揚げされたフナから、四月から適用が始まる一般食品の規制値(一キログラム当たり一〇〇ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたため、手賀沼漁協(柏市)と我孫子手賀沼漁協(我孫子市)に出荷自粛を要請した。
県漁業資源課によると、フナは十日に漁獲され、含有セシウムは一キログラム当たり四〇〇ベクレルだった。
現行の暫定規制値の同五〇〇ベクレルに達しなかったものの、四月からの新たな規制値を上回り、今回の措置をとった。
食品として提供される手賀沼産魚介の主力はモツゴで、同課は昨秋以来、これまでに計三回、放射性物質検査を行った。
過去三回の検査でモツゴの含有セシウムは、いずれも一〇〇ベクレルを超えており、移行間近の今月分の検査結果を受け、県はすでにモツゴの出荷自粛を要請している。
手賀沼のフナは、大半が釣り堀などに出荷されているが、食用とされている可能性もあるため、新たな検査対象にした。
(堀場達)
<引用おわり>
ところで、何故、手賀沼の魚に放射能汚染が検出されるか?
について、
「毎日JP」の記事
「東日本大震災:手賀沼の魚、なぜセシウム検出? 排水の有機物に結合か 近畿大・山崎教授が解析 /千葉」
が、その分析結果を伝えている。
<引用>
県内の水産物の放射性物質の調査で、4月からの放射性セシウムの新基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えていたのが、海産物ではなく、内陸にある手賀沼のモツゴとフナだった。
県が3日に手賀沼から採取したモツゴから、放射性セシウムが同171ベクレル検出された。
昨年11月(同115ベクレル)、今年1月(同128ベクレル)と徐々に汚染度が上がり、3月19月にはフナから同400ベクレルが検出された。
いずれも、出荷自粛となったが、風評被害とともに、中長期的に内陸の湖沼や河川に放射性物質の汚染が定着しないか、漁業関係者でなくても気になるところ。
そこで、東京湾や河川の底泥などの放射能汚染を調査している近畿大の山崎秀夫教授(環境解析学)に、手賀沼で魚の放射能汚染度が高くなるメカニズムを聞いた。
【斎藤有香】
Q 昨年の環境省の川底の汚染状況調査では、手賀沼に流入する大堀川河口近くで、底泥の放射性セシウムが1キロ当たり9700ベクレルと県内で最も高かった。関連があるのでは?
A 放射性物質が一気に川から海へ流れないのは、泥とくっつきやすいから。
土の中に含まれる鉱物が、セシウムと化学的に結合して離さない。
泥に付着し、ゆっくりと河口に流れるので、まず河川や手賀沼など湖沼の底泥の濃度が高くなる。
ただ、泥と異なり水からは放射性セシウムはほとんど検出されていない。
水を使う分には安心していい。
Q 東京湾底の泥の放射能がやや高い場所があるが、湾内の海産物の放射性セシウムが低濃度なのはなぜ。
A 東京湾内の放射性セシウムは、泥とくっついて川で運ばれたもので、やはり水は汚染されにくい。
魚の口に入っても泥と一緒にそのまま排せつされてしまって、魚の体内に蓄積しないと考えられる。
Q では、手賀沼のモツゴやフナに放射性セシウムが蓄積してしまうのはどうして。
A 手賀沼は高度成長期に生活、産業排水が大量に流れ込み、水質が悪化したことがある。
今はかなり改善されたが、沼の水には生活排水に含まれる高濃度の有機物が含まれている。
この有機物にセシウムが結合すると、泥と逆に水に溶けやすくなるため、セシウムが土に吸着しないまま魚の口に入り、体内に蓄積している可能性がある。
Q 手賀沼は県が管理しているが、底泥の除染など、今後、どのような対策が必要だろうか。
A 今除染しても、その泥の保管先という問題が新たに生じ、水の中で掘り起こして泥が拡散すると、被害が拡大する恐れもある。
しばらく検査を継続して、様子を見ていくしかないと思う。
毎日新聞 2012年3月23日 地方版
<引用おわり>
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