「朝日新聞」夕刊に「時の回廊」というコラムがある。
3月13日はなんと野坂昭如が寄稿、しかも、今年1月に荒木経惟が撮影したという写真付き。
題して、
「野坂昭如「火垂るの墓」 復興、繁栄の危うさ裏表」(コチラ)
そのラストで、地震・原発事故について語る。
***************************************(始)
(略)
東日本大震災から一年が経つ。
日本は66年前、戦争に敗けた。
たちまち復興をとげ、世界があれよと驚く繁栄国となった。
しかし、便利さを求めたあげく、地震列島にいくつも原発をつくり、核のゴミを残し、農を棄て、食いものは他国頼みの綱渡り。
ぼくにしても繁栄の恩恵を十分受けてきた。
うしろめたい気持ちはある。
だが、まだ足は焼け跡に置いたままのつもり。
66年前の焼け跡は今はない。
しかし戦後の繁栄といわれるすべて、ぼくには夢まぼろしの如く、あやふやなものに思える。
いつ一朝の夢となっておかしくない。
その危なっかしさと常に背中合わせであることを忘れてはいけない。
この震災で、日本がどう変われるかが問われている。
何が大事か、足もとをよく見て前に進まなければならない。
そして、時に後退する勇気をもつこと。(寄稿)
***************************************(終)
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