2013年5月1日水曜日

菅官房長官、主権回復記念式典の「陛下万歳」は自然発生 「尾を引く違和感」(沖縄タイムス) 「戦争国家に向けて最初のくいを打ち込んだ」の意見も

WSJ
2013年 4月 30日 13:00 JST 更新

 菅義偉官房長官は30日午前の記者会見で、政府主催の主権回復記念式典の際、天皇、皇后両陛下に対し参加者が「天皇陛下万歳」と唱和したことについて、「政府の式典(の予定)にはなかったことで、全く予想していなかった。自然発生的であり、政府として論評すべきではない」と述べ、式典とは無関係との認識を示した。

 万歳の唱和は両陛下の退席時に起こり、安倍晋三首相、麻生太郎副総理らも加わった。 

[時事通信社]


沖縄タイムス
4・28式典:「陛下万歳」尾を引く違和感
2013年5月1日 10時00分 (5時間7分前に更新)

「主権回復の日」政府式典であった「天皇陛下万歳」の三唱は、県民に強い違和感を残した。出席した高良倉吉副知事は「式典の趣旨がぶち壊しになった」と不快感を隠さない。一方、政府配信の動画は「天皇陛下」の音が消え、一部「なかったこと」になっている。

28日、会場に用意された高良副知事の席は、他府県の知事を差し置いて筆頭の位置だった。次に小笠原諸島がある東京都の猪瀬直樹知事、その次に奄美群島を含む鹿児島県の伊藤祐一郎知事。高良副知事は「政府は相当に配慮していた。式典自体も厳粛でいい雰囲気だった」と振り返る。

最後の万歳は、唱和しなかった。「なぜそうなるのか理解できない。アジアや沖縄への戦争責任に向き合えない、柔軟性を欠く日本社会を表している」

沖縄国際大学の石原昌家名誉教授も、テレビで見て衝撃を受けた。「4・28は沖縄戦の結果を反映したもの。式典での『天皇陛下万歳』に、体験者や遺族は脳天を殴られた気持ちだったのではないか」と語る。

「為政者は既成事実の積み重ねのパワーを熟知している。安倍晋三首相は自ら天皇・皇后の前で万歳し、戦争国家に向けて最初のくいを打ち込んだ」

菅義偉官房長官は30日、首相らの唱和について「自然発生的であり、政府として論評すべきではない」と深入りを避けた。

式典の模様を伝える「政府インターネットテレビ」。出席者の1人による「天皇陛下、万歳」の声は聞こえず、それに続く「万歳」の唱和から音が戻る。

内閣府は「式典が終了したので、運営業者が会場のマイクのスイッチを切り、万歳に気付いて入れ直した。意図的な編集ではない」と説明する。ただ、テレビのニュースでは三唱の声が流れており、なぜ政府のカメラだけが音を拾えなかったのか、疑問も残る。(阿部岳)




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