沖縄タイムス
4・28式典:「陛下万歳」尾を引く違和感
2013年5月1日 10時00分 (5時間7分前に更新)
「主権回復の日」政府式典であった「天皇陛下万歳」の三唱は、県民に強い違和感を残した。出席した高良倉吉副知事は「式典の趣旨がぶち壊しになった」と不快感を隠さない。一方、政府配信の動画は「天皇陛下」の音が消え、一部「なかったこと」になっている。
28日、会場に用意された高良副知事の席は、他府県の知事を差し置いて筆頭の位置だった。次に小笠原諸島がある東京都の猪瀬直樹知事、その次に奄美群島を含む鹿児島県の伊藤祐一郎知事。高良副知事は「政府は相当に配慮していた。式典自体も厳粛でいい雰囲気だった」と振り返る。
最後の万歳は、唱和しなかった。「なぜそうなるのか理解できない。アジアや沖縄への戦争責任に向き合えない、柔軟性を欠く日本社会を表している」
沖縄国際大学の石原昌家名誉教授も、テレビで見て衝撃を受けた。「4・28は沖縄戦の結果を反映したもの。式典での『天皇陛下万歳』に、体験者や遺族は脳天を殴られた気持ちだったのではないか」と語る。
「為政者は既成事実の積み重ねのパワーを熟知している。安倍晋三首相は自ら天皇・皇后の前で万歳し、戦争国家に向けて最初のくいを打ち込んだ」
菅義偉官房長官は30日、首相らの唱和について「自然発生的であり、政府として論評すべきではない」と深入りを避けた。
式典の模様を伝える「政府インターネットテレビ」。出席者の1人による「天皇陛下、万歳」の声は聞こえず、それに続く「万歳」の唱和から音が戻る。
内閣府は「式典が終了したので、運営業者が会場のマイクのスイッチを切り、万歳に気付いて入れ直した。意図的な編集ではない」と説明する。ただ、テレビのニュースでは三唱の声が流れており、なぜ政府のカメラだけが音を拾えなかったのか、疑問も残る。(阿部岳)
【主権回復式典】①政府のインターネットTVに、主権回復の日式典動画が残っている。>nettv.gov-online.go.jp/prg/prg7853.ht… 40分28秒を我慢して全部見た。壇上にいるのは安倍総理、麻生副総理、伊吹衆院議長、平田参院議長、竹﨑最高裁長官。いわゆる三権の長だ。(続く)
— 館野公一さん (@mandolinbum) 2013年5月1日
【主権回復の日】②それに天皇と皇后。二人の両脇にいる3人は侍従長、侍従次長、女官長の侍従職だ。それほど長くない式典が終わり、動画の音声が何秒か途切れる。参列者の誰かが「天皇陛下万歳」の発声を行なったところだ。誰が発声したかわからないように音声だけ消しているのだ。(続く)
— 館野公一さん (@mandolinbum) 2013年5月1日
【主権回復の日】③前方右側で誰かが「万歳」の発声をしたようで、参加者が右の方を見ている。(ここでは無音)少しカメラが引いて壇上全体が見えると、会場で壇上でバンザイをしているのがわかる。会場では前の方の出席者のみ、遅れて後方の出席者もパラパラと遠慮がちに手を上げている。(続く)
— 館野公一さん (@mandolinbum) 2013年5月1日
【主権回復の日】④壇上では侍従職の3人は冷静に微動だにしない。壇上向かって右側の衆参議長と最高裁長官もバンザイをしている。衆院議長の伊吹氏はそういう人間だが、参院議長の平田健二氏は民主党で連合岐阜の出身だ。そういう人間もバンザイをするのだ。「天皇陛下万歳」と口にするのだ。(続く)
— 館野公一さん (@mandolinbum) 2013年5月1日
【主権回復の日】⑤さらにもうひとり、日本国の司法を統括する最高裁長官も、臆面もなく壇上でバンザイをしている。最高裁で市民に寄り添った判決が出ないのも当然だなと、わかっちゃいるけどこの動画を見て改めてそう感じた。4/28は総理大臣と三権の長が「天皇陛下万歳」を叫んだ日だ。(続く)
— 館野公一さん (@mandolinbum) 2013年5月1日
【主権回復の日】⑥「天皇陛下万歳」は、近年は映画でも封印されてきた。イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』で渡辺謙さんが、なんとも複雑な言い回しで、だが野太くこのセリフを言ったのを覚えている。保守系の集会はともかく、政府主催の場でこの台詞が出たのは記憶されるべきだ。(続く)
— 館野公一さん (@mandolinbum) 2013年5月1日
【主権回復の日】⑦そもそも、なぜ今主権回復の日なのか。節目の日であるとしても、天皇皇后を引っ張りだしての式典を安倍総理が押し通したのはあまりに強引だ。最後に「天皇陛下万歳」が出たのは、プログラムに書かれていなくとも暗黙の了解だったのだろう。それがこの式典を物語っている。(了)
— 館野公一さん (@mandolinbum) 2013年5月1日
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