2013年5月9日木曜日

米議会調査局の報告書、安倍首相の歴史認識について、「侵略の歴史を否定する修正主義者の見方を持っている」、地域の安定への懸念材料になっていると指摘

朝日新聞 2013年5月9日12時30分
米議会、首相の歴史認識に懸念「侵略否定する見方持つ」

【ワシントン=大島隆】米議会調査局は5月1日に公表した日米関係に関する報告書の中で、安倍晋三首相の歴史認識について、「侵略の歴史を否定する修正主義者の見方を持っている」などと表記。地域の安定への懸念材料になっていると指摘した。

議会調査局はその時々のテーマに応じて報告書を作成、一般にも公表している。議会の公式な見解ではないものの、議員の活動の参考資料に活用されるため、一定の影響力がある。

1日の報告書では、「歴史問題での安倍首相や閣僚の言動は、地域の関係を混乱させ米国の国益を傷つける恐れがあるとの懸念を生じさせている」と指摘。安倍首相が2006年から07年の第1次安倍内閣時代に「国家主義的な言動や、安全保障で強い立場を取った」とし、「集団的自衛権の行使を巡る憲法解釈を変更しようとしたことについては米政府から歓迎されたが、その他の発言は、日本の侵略やアジアの犠牲といった歴史を否定する、修正主義者の見方を持っていることを示唆している」と明記した。「安倍氏は日本の戦時中の行動が不当に批判されていると主張するグループと関わりがある」とも指摘した。

また、「安倍内閣の一部の閣僚は極端に国家主義的な見方を持っており、閣僚の選択は安倍氏の(歴史問題での)考えを反映しているようだ」と指摘している。
2013-05-09「朝日新聞」夕刊

YAHOOニュース
歴史問題「米国益損ねる」=安倍首相の力量に疑問―議会報告
時事通信 5月9日(木)11時22分配信

【ワシントン時事】米議会調査局は8日までに、安倍晋三首相の歴史認識をめぐる言動に関し、「(北東アジア地域を不安定にさせ)米国の国益を損ねかねない問題から距離を置き、外交政策をかじ取りできるかどうかをめぐって疑問が生じている」と指摘する報告書を公表した。

報告書は安倍首相を「強固なナショナリスト」と紹介。首相の発言は「帝国主義日本の侵略やアジア諸国の犠牲を否定する歴史の修正主義にくみしていることを示す」と明記した。

また、旧日本軍の従軍慰安婦問題への関与を認めて謝罪した「河野談話」見直しは日韓関係を悪化させると強調。日本の近隣諸国や米国は首相が靖国神社参拝に踏み切るかどうかなどを注視していくとの見方を示した。

沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中対立に関しては、「最も重要なのは、米国が(日米安全保障条約に基づき)日中の軍事衝突に直接的に関与する可能性があることだ」と説明。米政府が日中双方に警告を発していることに触れた。

報告書は日本や日米関係の現状などについて定期的にまとめているもので、議員への情報提供が目的。 


MSN
首相の歴史認識「東アジアを混乱、米の国益損なう」と懸念 米議会調査局
2013.5.9 10:43 [安倍首相]

米議会調査局は8日までに、日米関係に関する報告書を発表し、安倍晋三首相の歴史認識やそれに関連する発言は「東アジアの国際関係を混乱させ、米国の国益を損なう可能性があるとの懸念を生じさせてきた」とする見解を掲載した。

また、首相を「強固なナショナリストとして知られている」と指摘。第2次大戦中の従軍慰安婦や歴史教科書、靖国神社参拝に関する首相の言動は、韓国や中国だけでなく、米国からも「常に監視されている」と記した。

従軍慰安婦問題については、戦時中の旧日本軍の関与や強制性を認めた1993年の「河野談話」を見直せば、「対韓関係は悪化するだろう」とした。

閣僚の靖国神社参拝を受けて韓国外相が訪日をキャンセルしたことなど、両国関係がぎくしゃくした状況が続いていることも紹介した。(共同)

東京新聞
首相 歴史認識 米が懸念 「東アジア混乱」「米国益害する」
2013年5月9日 07時20分

【ワシントン=竹内洋一】米議会調査局が日米関係の報告書をまとめ、旧日本軍慰安婦問題などをめぐる安倍晋三首相の歴史認識について「(東アジア)地域の国際関係を混乱させ、米国の国益を害する恐れがあるとの懸念を生じさせた」と指摘した。米有力紙にも首相の歴史認識を批判する社説が相次ぐなど、東アジアの不安定化要因として危惧する声が高まっている。

米議会調査局は、上下両院議員の立法活動を補佐するためその時々の国政の重要課題について専門スタッフが調査し、詳細な情報を公式報告書にまとめて議員に提供。議論に影響を及ぼしている。

今月一日付の日米関係の報告書は、首相が「強固な国粋主義者」として知られ、「帝国主義日本の侵略やアジアの犠牲を否定する歴史修正主義にくみしている」と指摘。慰安婦問題や靖国神社参拝をめぐる言動は、「米国や日本の近隣諸国から注意深く監視される」と強調した。

報告書は、植民地支配と侵略を認めた一九九五年の村山富市首相(当時)の談話について、安倍首相が今年四月の国会答弁で「そのまま継承しているわけではない」「侵略の定義は国際的にも定まっていない」と述べたことに触れ、米国が非公式に懸念を伝えたとの報道に言及した。

慰安婦問題では、報告書は旧日本軍の関与を認めた九三年の河野洋平官房長官(当時)による「河野談話」の見直しが安倍首相の持論であり、仮に見直せば日韓関係を悪化させるとしている。米国内の反応として、クリントン前国務長官が「慰安婦」でなく「(強制された)性的奴隷」という用語を使うよう国務省高官に指示したとの報道も引用した。

さらに「首相は熱心な国粋主義者を閣僚に選んだ」と指摘。複数の閣僚が靖国神社を参拝し、中韓両国が反発していると説明した。

米有力紙も、安倍首相について「歴史を直視していない」(ワシントン・ポスト)、「不必要なナショナリズム」(ニューヨーク・タイムズ)とする社説を掲載している。

◆首相 侵略の国連定義は「参考」 参院予算委

安倍首相の歴史認識に関する発言が波紋を広げている。村山談話や河野談話といった過去の政府談話をそのまま踏襲したくない首相の本音が見え隠れするからだ。中国、韓国の反発だけでなく、首相が同盟関係を重視する米国からも懸念が示され、事態の沈静化は遠い。

八日の参院予算委員会でも、過去の植民地支配と侵略を謝罪した村山談話が議論となった。首相は「侵略」を「他の国家の主権、領土保全、政治的独立に対する武力行使」などと定義した一九七四年の国連総会決議について「国連安全保障理事会が侵略行為を決定するためのいわば参考だ」と指摘。「学問的にさまざまな議論があり、絶対的な定義は決まっていないと(四月の国会で)申し上げた。政治家として立ち入ることはしない」と述べた。

村山談話をめぐっては、戦後七十年の節目となる二〇一五年に「未来志向」の新たな談話を発表する意向を表明している。その際、村山談話でアジア諸国に「多大の損害と苦痛を与えた」とした部分は、安倍内閣でも同じ立場だと言っている。

だが、村山談話の核心部分ともいえる日本の侵略を認めて謝罪した部分に関しては、内閣として引き継ぐとは明言しない。

首相は従軍慰安婦に関する河野談話についても、〇七年の第一次安倍内閣当時に、日本軍による強制連行の証拠は見当たらないとした答弁書を踏襲する考えを表明。慰安婦に対しては「お見舞いを申し上げたい気持ちは歴代内閣と変わりはない」と国会で答弁する一方で、強制性に関する認識などについては「外交問題に発展する」として、対応を菅義偉官房長官に委ねる姿勢を通している。

首相は八日の予算委で「日本は深刻な反省から戦後の歩みを始めた。安定的な平和を維持する努力もしてきた」と日本の立場に理解を求めていく考えを強調。菅氏も記者会見で「外交ルートを通じて理解をしてもらうに尽きる」と擁護するが、事態を好転させる打開策は何も示されていないのが現状だ。 (大杉はるか)
(東京新聞)


NHK
「首相の歴史認識 丁寧に説明を」
5月10日 14時33分

公明党の井上幹事長は記者会見で、アメリカ議会調査局の報告書で安倍総理大臣の歴史認識への懸念が示されたことに関連して、安倍総理大臣はアジア諸国に損害と苦痛を与えたという認識で一貫しているとして、アメリカや中国・韓国に丁寧に説明すべきだという考えを示しました。

アメリカ議会調査局は、「安倍総理大臣は、日米同盟の力強い支持者ではあるが、一方で、歴史問題への対応次第ではアメリカの国益が損なわれる可能性がある」などとした報告書をまとめました。

これについて公明党の井上幹事長は記者会見で、「私は、安倍総理大臣が国家主義者だという認識は全く持っていない。憲法の平和・人権・民主主義の基本原則に沿って政権を運営している」と述べました。

そのうえで井上氏は、「安倍総理大臣は、『植民地支配と侵略によって、アジア諸国の人々などに多大の損害と苦痛を与えたことに対して、痛切な反省とおわびをする』とした、いわゆる村山談話に基づく姿勢で一貫しているし、国会答弁でもそういう認識を示している。こうした姿勢を中国や韓国、アメリカにきちんと説明していくことが非常に大事だ」と述べました。

アメリカに説明する前に、まず日本国民に説明するのが先だ、と江川さん
(あたりまえだ)





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