「野田は終ったが、官僚と米国は生き残る」（ある畏友のメールより）

東京　江戸城（皇居）東御苑　2012-07-04

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先週末の夜、一人の畏友からあるメールが届いた。
鋭くイマを衝く、いい文章なのでご本人の承諾を得て、全文を転載させて戴く。
但し、改行は私の判断で施した。
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Subject: 野田は終ったが、官僚と米国は生き残る

公務員が公務員として（例えば仕事中に選挙ビラを撒く）政治活動をすると公務員法違反で処罰される。
一方、長いこと日本の政治は自民党と官僚の連合政権だった。
官僚は仕事として政治に取り組んできた。
この関係は単に人を殺せば殺人罪だが戦争で大量に殺せば英雄になるというパラドックスに通じる。


とはいえ平時は官僚は露骨に表舞台に出ることはない。
でもそういう平時は終わった。
野田政権は完全な官僚統制の下で、消費税を増税し、原発を再稼働し、小沢を追放した。
国会対策を含むこの舞台回しを担ったのは財務官僚だった。
もはや政党・官僚連合政権ではない。
立法府は、官僚政権の指示の下で政党が数あわせをして法律を通す仕組みになったのだ。
（勝財務省次官はもう1年、都合3年の任期を得た。多分戦後始めて）
このままTPPも突っ走るだろう。
軍官僚が政治を仕切った戦時の復活である。


野田政権は終わった。
皮肉なことに、小沢を切って捨てることは、自分の命脈を絶ちきることに気がつかなかったのだろう。
まんまと官僚の術策に翻弄されたわけだが、あの男の凡庸にすぎる能力では無理もない。
これほど説明のつかない公約破りをやった政党が次の選挙で議席第一党になることは、如何に日本の民度が低くても、ない。
小沢を切って支持率が上がったように見えても、自民党支持者が（国会で野合したように）政権支持を表明しただけで、選挙では離れる。
異常なマスメディアの「諸悪の根源小沢タタキ」のおかげで小沢切りが支持されたとはいえ、消費税増税や原発再稼働が支持されたわけではない。


財務省では余りの完勝ぶりに、「やり過ぎた」という反省が噴出し始めたという。
野田も谷垣も財務省が時間をかけて仕込んできたタマではあるが、財務省は勝ちすぎの反動、財務省への怒りが形成されることに恐怖し始めた。


もう野田･谷垣らの役割は終わった。
次の見せかけ政権をどう形づくるかに向けて官僚は始動している。
タマの資質は鳩山や小沢のように米国に楯突かず、ポチになる従順ささえあれば良い。
政策は官僚が考えるし、政治家にはそんな高度な能力はないのだから、あとは振り付けを覚えて指示通り動けばいいのだ。

欧米で新聞を信じるかと問えば肯定するのは２～3割といわれる。厳しい報道基準を備えた米国ですらそういう結果が出る。
これが同様の日本の世論調査では8～9割になる。
飲み屋談義をしていると見事にその事実を思い知る。
「日本の政治はもうどうしようもない」
「小沢が日本のメチャクチャに破壊した」
「無能な鳩山は行き当たりばったりの政治をした」
これが100％といっていい。

この日本人の低民度に貢献してるのが信頼厚い新聞・TVのマスメディアであるのはいうのもアホらしい。
今回の政局でマスメディアの果たした「小沢叩き」と「財政再建」は、その支離滅裂さとともに歴史に残る。


オレは小沢を好きかと聞かれたら即座にNOと答える。
しかし、政権獲得のマニフェストを旗印にした政治家が「政党政治を根本から間違ってる」「小沢新党:理念なき見切り発車」などと報道機関から叩かれるのだ。
この異常さに残念ながら気づく層は油膜のように薄い。


政党政治を説く政治部さんは、与党内部がまとまらないまま野党との合意を掲げて突っ走る野田執行部を政党政治の姿として称揚するわけか。
こうなれば恥知らずともいいたくないな。
お前たちとは住んでる言語空間がちがうとでもいうしかないな。

全く意図的に消費税増税を小沢問題にすり替え、政局を作り出し、官僚政治機構を温存するマスメディアを今さら嘆いても仕方ない。
日本のマスメディアは第4権力としての独立性より、官僚・政党連合政権の広報部隊としてのビジネス生き残り戦略を選んだのだ。
この広報部隊から人々を早く引き剥がさなければ、ますます低民度・無責任社会になって全く前の戦争と同じ道を歩むことになる。

思えば前の戦争に負けたという歴史はその未来を規定してしまった。
戦勝国アメリカからすれば多大な犠牲のうえに獲得した日本･ドイツを手放すはずがない。
ドイツは手強いが、初めからポチのように尻尾を振ってくる日本は、戦争で手に入れた領土なのだ。
北で千島列島、南で尖閣、東で竹島と領土問題を解決できないようにして時々脅せば、経済でいくらふんだくろうがキュンキュンとついてくる。
鳩山・小沢政権には一時ドキッとしたが、占領下で構築した統治機構は見事に機能して、反乱者どもを放逐してくれたとほくそ笑んでいるだろう。
（完）