東京新聞
復興へ付け替え横行 省益優先 予算奪い合い
2012年10月17日 07時20分
東日本大震災の復興予算が被災地の再建と無関係な事業に使われている問題で、各府省がこれまで一般会計として扱ってきた事業に関し、復興予算に付け替えて継続を図っていたことが分かった。一般会計の予算査定が厳しくなる中、省益優先とばかりに、関連性のない復興予算獲得に飛びつき、野放図に認められていたのが実情だ。 (中根政人、岩崎健太朗)
典型的な事業は、外務省の青少年国際交流事業だ。
震災発生前の二〇〇七年度からの五年間、「二十一世紀東アジア青少年大交流計画」の名称で、中国や韓国などの若者を招いた。毎年度平均で約七十億円の事業予算が一般会計から支出され、一一年度に終了予定だった。
ところが、復興のための一一年度三次補正予算に「アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流」(七十二億円)と名称を変えて盛り込まれた。震災の実態を米国や中国、韓国など約一万人の若者に伝えるのを目的としているが、実際は被災地での滞在は十日前後のうち実質三日。主に東京や名古屋、京都など被災地と関係のない大都市や観光地を回る内容だった。
外務省は「震災全体の正しい姿を伝えるための事業。復興予算からの支出は適正だ」と話している。
このほか、文部科学省は一二年度予算の復興特別会計に所管する独立行政法人・日本原子力研究開発機構の核融合エネルギー研究費として四十二億円を計上した。この事業は被災地の復興に直接関係なく、〇七年度から一一年度までは一般会計として扱われてきた。
内閣府は復興のための一一年度三次補正予算に、自殺防止対策として「地域自殺対策緊急強化基金」に三十七億円を盛り込んだ。事業費は被災地だけでなく、全国の相談業務に充てられる。〇九年度に三年間分として、一般会計に計百億円が計上されていた。
防衛省は同三次補正予算に自衛隊輸送機の購入費計四百億円を盛り込み、執行した。当初は一五年までに一般会計から購入する計画だった。
(東京新聞)
☆上の外務省の「アジア大洋州地域、北米地域との青少年交流」の内訳として・・・(↓)
復興予算21億円が中韓友好促進団体に 団体トップは民主大物議員と外務省OB…
2012.10.18
東日本大震災の復興予算が、復興とかけ離れた事業に転用されていた問題で、総事業費72億円の青少年国際交流事業が注目されているが、全体の約3割、約21億円が中国と韓国との友好を促進する2団体に支出されていた。2団体のトップは、民主党の大物議員と外務省OB。尖閣諸島や竹島をめぐって中韓両国が増長した背景に、民主党政権の弱腰・迎合外交があるとの指摘もあるが、国民はこの復興予算に納得できるだろうか。
問題の事業は、外務省の「アジア大洋州地域、北米地域との青少年交流」。震災の「風評被害を抑える」という名目で、41の国・地域の高校生や大学生を招き、被災地との交流を行った。
総事業費72億円は、事業を行った外郭団体などに拠出された。中韓関連でいうと、「日中友好会館」に14億6800万円、「日韓学術文化青少年交流共同事業体」に6億3400万円で、計約21億円になる。
日中友好会館の会長は、親中派として知られる民主党の江田五月参院議員で、役員には文科省OBが。日韓学術文化青少年交流共同事業体の日本側代表である「日韓文化交流基金」の内田富夫理事長は外務省OBだ。
この事業をめぐっては、先月9日のNHKスペシャルが「被災地での滞在期間2日間で、残り10日間は国内観光」などと問題点を報道。自民党の平将明衆院議員も「学生ではなく、著名なジャーナリストを呼ぶなど、もっと効果の高いやり方があるはず。(震災を利用して)通常なら通らない予算を押し込んだ」と批判し、今年7月に民主党が行った事業仕分けでも「削減」判定が出た。
国民に復興増税という負担を強いながら、与野党から効果を疑問視される事業を行っていたとすれば大問題。さらに、隣国とはいえ、41の国・地域分の総予算のうち、中韓両国に約3割が集中するのはどうなのか。
ジャーナリストの若林亜紀氏は「民主党政権になって中韓両国への配慮が目立つので、外務省は『予算が通りやすい』と思って要求したのだろう。復興予算を、国会議員と天下り官僚、中韓の若者が分け合う構図になっている。臨時国会などで徹底的に追及するべきだ」と話した。
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