2016年8月3日水曜日

28兆円経済対策、「未来への投資」見えず (日経新聞) / 安倍首相の28兆円経済対策、バブル崩壊後から続く長い轍を踏む運命か (ブルームバーグ)



 経済対策は成果がなお不十分なアベノミクスの再出発を象徴する。「未来への投資」を掲げ、28兆円の事業規模で民需の喚起を狙うが、日本が抱える中期の課題を克服する道筋は見えない。短期策の寄せ集めでは消費や投資は点火しない。財政と金融政策の連携も労働市場や社会保障の改革を伴って効果が出る。経済再生の工程表を大きな図柄で描き直すときだ。

 派手な打ち出しだが、メッセージは不明確だ。28兆円という数字で大型感を出すが、国と地方の財政支出は4分の1の7兆円。未来への投資といいながら、低所得者1人ずつに消費増税対策として1万5千円を渡す。どこを見た対策なのか中途半端な印象だ。

 2日午後の麻生太郎財務相と黒田東彦日銀総裁の会談も演出の一つだ。財政政策と金融政策の「合わせ技」を訴えたつもりだが、市場は意図を読み切れない。日銀は一段の金融緩和に動くのか。それとも大胆な緩和策を修正するのか。債券市場での長期金利の急上昇はその迷いを映す。

■正念場の3年

 大盤振る舞いの対策で市場や企業、消費者の心理のテコ入れを狙う。こんな歴代政権が取ってきた手法は、債務の膨張とマイナス圏への金利低下で岐路を迎えた。財政でも金融政策でも手段が限られるなかで、経済低迷の真の原因に向き合う必要がある

 家計の消費を鈍らせるのは将来の生活に対する不安の要素が大きい。一時的なばらまき策より、社会保障や税制のゆがみを正して将来を見渡せる環境を整えるのが筋だ

(略)



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