2011年9月15日木曜日

明治36年(1903)4月6日~29日 ロシア、第2次満州撤兵を中止  京都「無隣庵」会議

明治36年(1903)
4月6日
・ロシア関東長官アレクセーエフ中将、今月期限の第2次満州撤兵中止を命令。中国東北地方への駐留を継続。
9日、陸相クロパトキンの厳命をうけ、奉天からのみ撤兵
中国で反ロシア運動広がる。
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4月8日
・ロシア、閣議。
(満州からの撤兵期限)外相ラムスドルフ・蔵相ウィッテは撤兵主張。内相プレーヴェは撤廃反対。
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4月9日
・オランダ、公務員及び鉄道関係者がストライキを起こすと投獄という議案可決。
そのためストライキが起こる。
13日、40の組合からなる全国ストライキ委員会、政府が軍を出動させたため、1週間にわたるゼネストの中止決定。    
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4月10日
・神戸沖で海軍大演習観艦式。
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4月13日
・文部省、小学校令改正。
国定教科書制度を確立し、小学校教科書は原則として文部省が著作権を持つものに限定。
1904年4月1日施行。
前年12月から摘発が続いた教科書汚職事件が引き金となる。
小学校教科書選定に絡み、各県知事・視学官・校長ら関係者が、教科書販売会社「金港堂」「集英堂」「普及舎」から収賄。
書記官、府県視学官、師範学校教諭、教科書会社社長・社員ら予審裁判容疑者151名、有罪確定112名。
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4月16日
・菅野須賀子「基督教世界愛読者諸君に告ぐ」(「基督教世界」1025号)。
大阪の勧業博覧会における醜業婦の舞踏会に反対し、6日の木下尚江演説に論及。
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4月16日
・ロシア、ベッサラビアのキシニョフ(黒海北西)、農民によるユダヤ人虐殺。
ユダヤ人が革命を狙ったテロを組織しているという疑惑。ユダヤ人に対する執拗な迫害継続。
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4月17日
・ロシア、満州問題に関する御前会議。対日戦を回避しつつ満州撤兵延期。
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4月18日
・ロシア、満州撤兵を履行せず、新たに清国に対して満州撤兵条件7項目要求をつきつける。
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4月18日
・清国、ロバート・ハートの幣制改革案(金本位制)が提示される。
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4月20日
・この日の「万朝報」、政府の社会主義運動取締りを論じる。

(段落を施す)
「警視庁は四月三日の労働者懇親会を禁止して以来、社会主義者及び労働者に対する態度極めて物々しくなり来れり。
彼は日毎に多数の偵吏を使役して、各社会主義者及び労働運動者の経歴性行を調査すること極めて厳に、或は其隣人に就き、或は其原籍地に照会し、或は其踪跡を追随して、物色至らざるなき、恰も六波羅禿(ろくはらかむろ)の当時の如し。
然り吾人は現警視総監の今に始めぬ用意の周到なるを謝すると同時に、却つて彼等社会主義者及び労働者の為めに、大に慶賀せずんばあらず、何となれば、此物色の結果は確かに当局が社会主義者及び労働運動者に対する従来の誤謬を一掃するに足るべきを信ずれば也。
蓋し警視庁当局は、今の社会主義者及び労働運動者を以て、無頼の壮士、無職の浮浪者と同視したるが如し。
品行不良の悪漢、無職の流氓と同視したる者の如し。而して、浸りに労働者を煽動し、平地に波を揚げて以て快となすの不平漢と同視したる者の如し。
・・・今の社会主義者の牛耳を把る者を見よ。
皆な高等の教育を受け、高等の職業を有する紳士に非ずや。
今輩の労働運動者を見よ。亦皆な普通の教育を有し、一定の職業を有する良民に非ずや。
・・・若し、夫れ警視庁が頻りに労働運動者の演説を中止せしむるが如きは、愚の極也。
殊に一語の懇親、一致、団結等のことに及ぶあれば、直ちに之を中止せしむといふが如きは愚の極也・・・」
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4月20日
・外相小村寿太郎、内田康哉駐清公使に清国に対してロシアの要求拒絶勧告を訓令。  
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4月20日
・ガーナのクマシ周辺のアシャンティ族、ベクウェイの親英部族を襲撃。
これを契機に反英部族がイギリス政府に対して一斉蜂起(アシャンティの蜂起)。
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4月21日
京都「無隣庵」会議。桂太郎首相・小村寿太郎外相・伊藤博文・山県有朋ら、4者会談。
対露基本方針、戦争決意(満州撤兵問題に積極的に介入し、一歩も譲らぬ交渉を開始する)。

対ロシア基本方針
①露国ニシテ満州還附条約ヲ履行セズ、満州ヨリ撤兵セザル時ハ、我ヨリ進ンデ露ニ抗議スルコト。
⑧満州問題ヲ機トシテ路国卜其交渉ラ開始シ、朝鮮問題ヲ解決スルコト。
⑨朝鮮問題ニ関シテハ、露国ヲシテ我ガ優越権ヲ認メシメ、一歩モ露国ニ譲歩セザルコト。
⑥満州問題ニ対シテハ、我ニ於テ露国ノ優越権ヲ認メ、之レヲ機トシテ朝鮮問題ヲ根本的ニ解決スルコト。
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4月22日
・清国、天津・北京に銀幣中族総廠設置。
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4月22日
・海相山本権兵衛中将、清国南部に巡航する予定の常備艦隊司令長官日高壮之丞中将に訓示。

「今回ノ巡航中ハ、成ルベク遠ク南進スルヲ避ケ、一朝緊急警報アルトキハ速ニ北ニ転ジ得ベキ覚悟ヲ以テ・・・常ニ交通ノ便アル港湾ニ宿泊スルコトヲ望ム」
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4月23日
・木下尚江(33)・堺利彦(32)、横浜・羽衣町の若柳亭での理想団横浜支部発会式、続いて相生座での演説会に出席。
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4月24日
・日清間天津居留地拡張取極書調印。7月10日告示。  
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4月24日
・上海、張園で拒俄大会。
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4月25日
・政友会総裁伊藤博文、政友会総務に政府との妥協案を説明。総務会は、「総裁専断」と非難。
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4月26日
池辺三山、露清新密約の情報を得て、元老伊藤博文に面談、見解をただす。
また、自身の開戦論を展開。伊藤も三山とほぼ同意見の様子だが、戦争については明言を避ける。
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4月27日
・清、露の新要求7項拒絶。1902年4月8日還付条約の履行要請。
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4月28日
・桂太郎首相、貴族院6派に地租増徴継続問題について、政友会との妥協条件を発表。
①地租条例改正案は形式的に議会に提出し、後に撤回する。
②海軍拡張費は、行政整理・公債募集などによる。  
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4月29日
・東京の中国留学生、拒俄(抗露)義勇隊組織。
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4月29日
・三井物産(名)、福岡県門司に船舶部開設。三井船舶(株)の前身。
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