2013年4月9日火曜日

福島第1トラブル続発 汚染水処理、場当たり的 予兆問題視せず

河北新報
福島第1トラブル続発 汚染水処理、場当たり的

 福島第1原発のトラブルが止まらない。燃料貯蔵プールの冷却停止に続き、地下貯水槽からの放射能汚染水の漏えいが発覚した。汚染水はストロンチウムを含む高レベル放射性廃棄物で土壌汚染が避けられない。東京電力の対応も後手を踏み、福島県や立地町の怒りは限界に達している。

<最大75トン漏れる>
 汚染水は原発事故を起こした1~4号機の原子炉の冷却に用いられている。最初の漏えい発覚は5日で、1~7号ある貯水槽のうち2号の遮水シートと土壌の間から放射性物質が検出された。

 東電によると、漏えい量は最大で120トン、放射性物質の総量は7100億ベクレルに及ぶ。原発事故後の放射性物質拡散量としては最も多い。7日には隣の3号貯水槽でも漏えいが判明した。最大で3リットル、約3700万ベクレルと推測される。

 貯水槽は地面を掘り下げて汚染水を保管し、ポリエチレン製シート2枚、ベントナイトと呼ばれる粘土質のシート1枚を敷いて水漏れを防ぐ。東電の話では、シートの間に入れた漏えい検査用のパイプとの接着部のシートが破損して漏れた可能性がある。

 東電は2号貯水槽に残った汚染水1万3200トンと3号の2000トンを別の貯水槽に移し替えているが、作業完了は12日の見通し。それまで最大で75トンが漏れ続ける。

<貯水槽掘り補う>
 原子炉建屋には1日400トンの地下水が流れ込み、汚染水処理が重要課題になっている。約940基のタンク(1基1000トン)を敷地に並べてためているが、追い付かず、貯水槽を掘って貯蔵機能を補った。

 現在の汚染水の総貯水量は27万6000トン。タンクと貯水槽の容量は計約33万トンで余裕はあまりなく、一部の貯水槽が機能不全になれば汚染水処理が行き詰まる。東電は8日、タンクの増設を前倒しする方針を打ち出したが、場当たり感は否めない。処理計画の見直しにも迫られている。

<数日もたたずに>
 原発トラブルは3月18日の燃料貯蔵プールの冷却停止に始まった。3号貯水槽の汚染水漏えいまでの20日間で7件の事案が起きた。

 県はその間に5回、安全管理の徹底や再発防止を東電に申し入れた。東電幹部はそのたびに謝罪に訪れ「心配を掛けて申し訳ない。すぐに対策を取る」と頭を下げるが、数日もたたないうちに次のトラブルが起きている。

 村田文雄副知事は8日、東電福島復興本社の石崎芳行代表を県庁に呼び、「短期間にトラブルが続発し、県民に大きな不安を与えている」と強い口調で非難した。

 福島県大熊町は原発立地町で今も全町避難が続く。渡辺利綱町長は「帰還に向けて今が大事な時期なのに、町民の不安を増大させている」と怒りをあらわにした。

2013年04月09日火曜日


47ニュース
移送先貯水槽でも漏えいか 

原子力規制庁によると、福島第1原発の汚染水漏えいで水の移送先の1号貯水槽でも漏えいの可能性。

2013/04/09 13:29   【共同通信】


東京新聞
東電 予兆問題視せず 別貯水池も汚染水漏出    
2013年4月8日 朝刊

 東京電力福島第一原発の地下貯水池から、高濃度汚染水を処理した水が漏れた事故で、東電は先月二十日ごろには、貯水池の水位がじりじり下がり、池の遮水シートの近くで微量の放射性物質も計測しながら、水漏れの予兆を見逃していたことが分かった。 
 早期に水漏れを疑って対応していれば、漏出量は最小限にとどめられた可能性が高い。東電の危機管理のあり方が問われる。
 東電の資料によると、問題の貯水池の水位は三月十日前後から不安定になり、二十日ごろには明らかな下降線をたどった。今月五日の公表時には、最高値だった時より0・5%下がっていた。
 東電は遮水シートの内外で放射性物質の濃度も測っている。これまで計測されなかったのに、二十日には、微量ながら放射性物質を計測していた。
 二つの小さな異変を「水漏れの予兆」と疑うべきだが、東電は逆に、水漏れを否定する方向で調査を進めていた。その根拠としたのが塩素濃度だ。
 シートの外側では、処理水に含まれる塩分を検知する塩素濃度も常時、計測している。水が外に漏れていれば上昇するはずの外側の値が、二十日の時点では大きな変化はなかったことから、このときは「水漏れはない」という判断に傾いたという。
 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は七日の会見で「あらためて整理すると(水位の低下を)確認できるが、日々の作業で認識するのは難しい。危機意識が足りなかった」と述べた。
 一方、東電は水漏れがあった貯水池の東側に隣接する別の貯水池でも、処理水が漏れていると明らかにした。
 この貯水池にも処理水約一万一千トンが貯蔵されている。シート外側で採取した水から一立方センチメートル当たり二〇〇〇ベクレル前後の放射性物質と塩素が計測された。東電は、漏えい量は〇・三~三リットルとみている。


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