2013年8月7日水曜日

アマゾン創始者個人によるワシントン・ポスト紙買収 背景と今後 報道メディアの今後 新聞の未来

ロイター
焦点:一族経営ポスト紙の凋落、受賞重視の陰で読者減少
2013年 08月 6日 19:03 

[ワシントン 5日 ロイター] - 当時の米紙ワシントン・ポスト最高経営責任者(CEO)キャサリン・グラハム氏は何年もの間、同社のシニアエディター20人以上をプエルトリコの高級リゾート地に呼び寄せ、経費削減の必要性について話し合ったものだった。

だが、ホテルのカジノやゴルフコースに向かうさなかに、グラハム氏の警告を真剣に受け止めるエディターはほとんどいなかった。

エディターたちはまた、大きなニュースが発生したときには、費用は気にせずに動くようグラハム氏から個人的に言われることが分かっていた。グラハム一族は自社の使命を金もうけではなく、公益の「番人」であると表現することがよくあり、こうしたメッセージは同一族からワシントン・ポストのマネジャーたちへと4世代にわたり受け継がれてきた。

同紙ベテラン記者のウォルター・ピンカス氏は、キャサリン・グラハム氏の夫フィリップ氏が発行人を務めていた時代に入社。「当初、フィルは私に『わずかでももうけが出るなら、われわれの勝ちだ』と言った。彼は公益事業と考えていた」と振り返る。当時、同紙はワシントン・ポストが所有するテレビ局や他の資産に財政的に支えられていたという。

しかし、インターネットが登場するはるか昔の1970年代後半までには、グラハム一族のそうした公共サービス的方針と、上場企業として求められる成長が完全に両立不可能なことは明らかになりつつあった。

米ネット小売り大手アマゾン・ドットコムの創業者ジェフ・ベゾス氏に新聞事業を2億5000万ドルで売却することが発表された後に、キャサリン・グラハム氏の孫娘で現在同紙の発行人を務めるキャサリン・ウェイマス氏が出したコメントがそれをまさに言い当てている。

「ジャーナリズムが使命であるなら、経費削減と利益計上へのプレッシャーを考えると、(上場企業であり続けることは)ポストにとって最善ではないかもしれない」

<デジタル革命>

同紙元副社長、レナード・ダウニー氏も「ワシントン・ポストのようなマルチプラットフォームの報道機関が最大限の力を発揮するには、上場企業という形態では、株主に答える必要のない非上場企業よりも柔軟性に欠けるかもしれない」と指摘する。

デジタル革命は新聞業界を打ちのめした。だが皮肉にも、現会長兼CEOのドナルド・グラハム氏はハイテク好きとして知られ、インターネットがもたらす脅威とチャンスを敏感に感知していたと、ポスト紙の元エディターで現在はUSAトゥデー紙の発行人であるラリー・クレイマー氏は話す。

しかし、グラハム氏は同紙とそのスタッフをバージニア州にあるデジタル部門と2010年まで統合することはなかった。同紙電子版ができてから、10年以上が経過していた。クレイマー氏は、これはミスだったと指摘。「ある時期まで彼らは先を行っていたが、(電子版は遅きに失するまで)完全には事業化されなかった。彼らは存在意義を見失っていたようだった」と述べた。

前出のピンカス記者は、同紙が「ものすごい勢いで人員を増強し、読者ではなく、賞の獲得を追い求めていた」とし、ドナルド・グラハム氏が発行人だった最後の10年間で、「われわれは他のどの新聞よりも多くのピュリツァー賞を受賞したが、購読者12万人を失った」と語った。購読者数は減少し続けており、過去3年間は14%減の48万0166人にまで落ち込んだ。

(原文執筆:Fred Barbash記者、翻訳:伊藤典子、編集:野村宏之)


NAVERまとめ
ワシントン・ポスト買収劇で報道メディアが大きく変わりそう
ワシントン・ポストがAmazonではなく、まさかのCEO個人によって買収。kindleもあるだけに、ニュースのあり方そのものが変わる気がするんだけど、実際のところどうなの? 更新日: 2013年08月06日







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