2017年5月31日水曜日

これが安倍首相の「美しい国」か? 官邸主導の特区公平性はどこに 〈週刊朝日6月9日号〉;「さすがに安倍首相は強引、傲慢すぎるという声が高まっている。もっと早く収束をはかれば良かったのに、文科省を強引に抑えつけ、後から次々と資料が出て大失敗。森友問題と同じだ。水面下では次の総裁選の話題で持ちきりですよ」


 2007~14年に愛媛県、今治市と加計学園が共同で15回にわたり構造改革特区の提案をしたが、実現しなかった獣医学部新設。文科省の前川喜平・前事務次官氏が「総理のご意向」などの内部文書を部下から示された昨年9~10月ごろから、獣医学部新設は実現へ急ピッチで進んでいく。何が起こったのか。

 (略)

 だが、ここまで完全に粉砕されてきた提案が、安倍政権下で国家戦略特区制度が始まった途端、一転して実現する。どういうことなのか。『国家戦略特区の正体』の著書がある立教大学の郭洋春(カクヤンチュン)教授がこう語る。

「構造改革特区は地域からの提案を吸い上げるボトムアップ型だったのに対し、国家戦略特区は国が主導して決めるトップダウン型。前者の推進本部にはすべての閣僚が参加すると規定されていたが、後者の諮問会議は議長である首相と官房長官、特区担当大臣のほかは、首相が指名した大臣だけが議員になれるなど、より官邸主導色が強い制度になっています」

 ただ、トップダウンの制度に変えたからといって何でもやっていいわけではない。郭教授はこう続ける。

「今まで国として『獣医学部の新設は認められない』と言ってきたことを変える根拠が一切説明されていないし、より緻密な提案をしていた京都産業大の獣医学部新設案が除外された理由も不明なまま。透明性や中立性、公平性が確保されておらず、特定の地域や事業者への利益誘導が疑われてしまう。他の特区と比べても、極めて異常な事案です」

 圧力と脅しで黒いものを白と言わせる政治。これが安倍首相の言っていた「美しい国」なのだろうか。ある自民党幹部はこう語る。

「選挙の時の『報復』を恐れて表立っては言わないが、さすがに安倍首相は強引、傲慢すぎるという声が高まっている。もっと早く収束をはかれば良かったのに、文科省を強引に抑えつけ、後から次々と資料が出て大失敗。森友問題と同じだ。水面下では次の総裁選の話題で持ちきりですよ」(本誌・小泉耕平、村上新太郎、大塚淳史/今西憲之)

※ 週刊朝日 2017年6月9日号


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