1897(明治30)年
4月
台湾銀行法公布。外国銀行・洋行に対抗し、「金融疏通ノ途」を開き、錯雑した「幣制整理ノ任」に当る特殊銀行設立が定めらる。
4月
島村抱月「しろあらし」(「新著月刊」)
4月
ツルゲーネフ、二葉亭四迷訳「うき草」(「太陽」)~10月
4月
抒情詩、宮崎湖処子、国木田独歩、田山花袋、柳田国男、太田玉茗、嵯峨の屋御室合同詩集、民友社
4月
谷崎潤一郎(11)、阪本小学校高等科に進級
4月
オーストリア、「バデーニの言語令」。
ベーメン、メーレン両州の役所・裁判所では申請者に従いチェコ語・ドイツ語いずれかに対応。全官吏は3年以内に2ヶ国語を習得。ドイツ人の反発強く、1897年11月バデーニ解任。1899年秋「言語令」廃止。
チェコの民族意識:ハプスブルク支配下のチェコではドイツ語が公用語。19世紀中葉以降、ドブロフスキー「チェコ語文法」、バラツキー「チェコ民族史」、スメタナ・ドヴォルザークの音楽などで民族意識が高揚。1880年ターフェの言語令、82年プラハ大学のチェコ系・ドイツ系分離、ギュムナージウムや小学校でのチェコ語授業が一般的となる。
4月
ロシア、ムラヴィヨフ伯爵、外相就任。外務次官ラムズドルフ伯爵。
4月
ゴーギャン(49)、タヒチ、油絵の大作「我々はどこからきたか、我々は何者か、我々はどこに行くか」を制作開始。
4月1日
マックス・ウェーバー、ハイデルベルク大学教授就任。
4月2日
子規、漱石に宛てて手紙。短冊を贈る。
「いもうとのやつにたにさく買ひにやり候処、不風流極るものを買ひ来り。それもよけれど品のわるきこと夥しく、これならば御地にもあるべけれど御手習の料にもと御送申上候。御さげすみ被成(なされ)ぬやう奉願候。もつとも当地のものハ京都のやうなものとハ違ひ候かと存候。それにしても近日ある人が持参のものなどはかなりによろしく候を思へバ、畢竟下谷に短冊なきものと存候。下谷にたにさく買ふの愚なることを只今知り申候。呵々。
あひかはらず草臥(くたびれ)強く閉口致候。已上。
規
金様」
4月3日
「社会問題研究会」創立。「学理と実際とに即し、社会問題を研究する」。
幹事:普通選挙同盟中村太八郎、東洋社会党樽井藤吉、西村玄道(軍備全廃論)。
評議員:兆民門下の酒井雄三郎・小島竜太郎・石川半山、新仏教の松村介石・佐治実然、政治家鳩山和夫・波多野伝三郎・元田作之進、経済学者田口卯吉・田島錦治、国権派三宅雪嶺・福本日南・陸羯南・安岡雄吉、労働運動の佐久間貞一・片山潜など。
看板倒れの無気力な活動。中村大八郎が松本で木下尚江と共にでっち上げ逮捕され自然消滅。
4月3日
浪華青年文学会発足。文学少年十数名の集り。
7月18日、機関紙「よしあし草」発行(明治33年8月10日「関西文壇」と改題)。
4月3日
~4日。内務省衛生局長・後藤新平他が、足尾鉱毒被害地検分
4月3日
ブラームス(64)没、ウィーン
4月5日
イギリス保護領ザンジバル、スルタン勅令により奴隷制廃止。
4月6日
高野房太郎、工業協会総会(錦輝館)で「米国における職工の勢力」について講演。ゴンパーズ宛書簡では、これを職工義友会主催の初会合と報告。
高野房太郎・沢田半之助・城常太郎ら、職工義友会再建。
職工義友会は、サンフランシスコで「欧米諸国に於ける労働問題の実相を研究して、他日我日本に於ける労働問題の解決に備へん」がため準備していた沢田半之助・城常太郎らが、1896年末帰国し、設立。彼らは、パンフレット「職工諸君に寄す」を各工場に配布し、「労働は神聖にして結合は勢力なり。神聖なる労働に従事する者にして勢力ある結合を造る」ことの必要と意義を説く。
7月4日、労働組合期成会開催。
4月7日
群馬県知事石阪昌孝、非職を命じられる。
14日、日本赤十字社から、「正五位石坂昌孝」に群馬支部長時の尽力に対し謝状。
26日、群馬県社寺保存協会から「謝辞」を贈られる。
4月7日
鉱毒調査委員・渡辺渡他が、被害地巡視.
4月10日
山川信次郎(帝国大学文科大学第3回卒業生)、第五高等学校に赴任。漱石の許に寄宿。
4月11日
内務省土木局長・古市公威が被害地検分
~14日、内務大臣他が、被害地巡視
4月13日
内閣鉱毒調査委員会第1回会議、神鞭委員長の一時操業停止原案を松方内閣鉱山局長肥塚竜(嚶鳴社以来の正造の同志、質問書の共同提案者)が反対。
御料局技師で古河の技術顧問格の渡辺渡が修正案提案(予防設備を命じ、期限までに完成しなければ停止命令)。これに古市公威・後藤新平が賛成し、修正案が決定。
農事試験所技師坂野初次郎・農科大学助教授長岡宗好は再度現地調査をし再審議要請、否決。坂野・長岡らは特別免税法制定を主張するが、大蔵省主計局長目賀田種太郎は一般災害と同じ地租条例第20条による免訴を主張、これが多数を占める。但し、委員会は相当の保証金を古河が被害民に出させることを希望するが、これは政府が拒否。
4月13日
子規「俳人蕪村」(19回、『日本』~12月29日)
子規、この日、はじめて床を離れ、縁側まで這って出る。久しぶりに庭を眺め、加賀邸の屋根越しに満開の桜を見る。
4月15日
グスタフ・マーラー(37)、ウィーン宮廷歌劇場楽長就任(任期1年)。5月「ローエングリーン」でデビュー。7月監督代行、10月「芸術監督」任命。
つづく
0 件のコメント:
コメントを投稿