東京 江戸城東御苑 二の丸雑木林(2011-11-24)
*「所有権を観念し得るとしても、既にその放射性物質はゴルフ場の土地に附合(ふごう)しているはずである。
つまり、債務者(東電)が放射性物質を所有しているわけではない。」
これは、あるゴルフ場経営者の訴えに対する東電の答弁書の一部で、
飛び散った放射性物質は既に「無主物」であり、東電の所有物ではないということを主張しているそうだ。
以上は、「朝日新聞」連載の「プロメテウスの罠」より借用。
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そもそもこのゴルフ場はどういう訴えをして、裁判所はどうゆう判断を下したのか、これは「朝日新聞」11月15日の記事より。
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(見出し)
「東電が除染を」 申し立て却下 福島のゴルフ場会社
(記事)
福島県二本松市のゴルフ場運営会社などが東京電力に福島第一原発の事故による放射性物質の除去などを求めた仮処分の申し立てで、東京地裁が「除染は国や自治体がするべきだ」と述べたうえ、会社側の申し立てを却下した。
決定は先月31日付。
会社側は東京高裁に不服を申し立てた。
原発から約45㌔にある会社側は除染のほか、維持経費など約8700万円の支払いを東電に求めていた。
福島政幸裁判長は「土や芝に放射性物質があるため、ゴルフ場に不利益な影響が出ることは否定できない」と認めた一方で、「除染方法が確立していない現状で東電に除染を命じると、国の施策に抵触するおそれがある。東電が汚染土壌を適切に処分できるとはいえない」と述べた。
また、文部科学省が学校の校庭利用を制限する基準として4月に示した「毎時3.8マイクロシーベルト」を挙げ、ゴルフ場の線量はこれを下回っていると指摘。
「子どもでも屋外で活動できるのだから、営業に支障はない」として経費の支払いも認めなかった。
会社の弁護団は「東電が汚染したと認めながら除染はさせないのは、極めて奇異な解釈だ」と決定を批判した。
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この記事だけでは、「無主物」云々の主張は見えない。
ただ、この記事からは、以下のことが言えるのではないか。
「3.8マイクロシーベルト」は、健康に与える影響などとは無関係に、当時の汚染レベルに合わせて設定した「暫定」基準にすぎない。
この時、子供たちは、マスクをして屋外活動をしていた。
更に、批判もあり、8月になってようやく、「1マイクロシーベルト」戻していた。
この裁判長は勘違いしている。
それに、何と理屈をこねようと、「営業に支障はない」というのは明らかに事実の誤認だろう。
裁判長自身、伊豆か箱根かのゴルフ場と、マスクが必要な福島のゴルフ場とに誘われた場合、どちらを選ぶのか?
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ゴルフ場の申し立てに対し、飛散した放射性物質は既に「無主物」だという主張は、この時、東電が提出した答弁書にあった主張らしい。
ただ、裁判長は、「無主物」云々の判断は避けたとのこと。
「プロメテウスの罠」(「朝日」連載)は、こう書いている。
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「無主物とは、ただよう霧や、海で泳ぐ魚のように、だれものでもない、という意味だ。
つまり、東電としては、飛び散った放射性物質を所有しているとは考えていない。
したがって検出された放射性物質は責任者がいない、と主張する。」
「飛び散ってしまった放射性物質は、もう他人の土地にくっついたのだから、自分たちのものではない。そんな主張だ。」
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そして、
裁判長は「無主物か否か」には立ち入らず、こう言ったそうだ。
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「放射性物質を除去するとすれば、広大な敷地の土壌や芝をすべて掘り起こすという非常に大がかりな作業が必要となり、多額の費用を要することが想定される」
「それはもはや放射性物質と土地の分離とは言えないのではないか」
「このような作業を行うことができる立場にあるのは債権者(ゴルフ場)ではないかと思われる」
要するに放射性物質は、それがくっついた土地の持ち主が除去せよ、という主張だ。
これについて裁判所はいう。
「除染の方法や廃棄物の処理の具体的なあり方が確立していない現状で除染を命じると、国等の施策、法の規定、趣旨等に抵触するおそれがある」
「事故による損害、経済的な不利益は、国が立法を含めた施策を講じている」
つまり、除染も賠償も、国がいろいろな手立てを考えているのだから、それを待て、ということだ。
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ゴルフ場は以下のような状況に陥ったとのこと。
「7月に開催予定だった「福島オープンゴルフ」の予選会もなくなってしまった。
通常は年間3万人のお客でにぎわっているはずだった。
地元の従業員17人全員も9月いっぱいで退職してもらった。」
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