2012年4月29日日曜日

敦賀原発の直下に活断層がある可能性が大きい。保安院・専門家が指摘。

東京 江戸城(皇居)東御苑 2012-04-24
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日本列島は、地球をニワトリの卵とすると、白身にあたるマントルに浮かぶ巨大なイカダである複数のプレートの縁にできたシワらしい。
(ここで言う、日本列島に関わる複数のプレートというのは、北米プレート、太平洋プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートの四つのこと)

このシワである日本列島には、プレートに押され圧縮された傷という活断層が無数にあるという。

その活断層が、敦賀原発2号機の直下にある可能性が高いらしい。

4月25日「朝日新聞」の一面トップ

(見出し)
敦賀原発直下 活断層か 保安院調査 廃炉の可能性
(記事)
日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県敦賀市、定期検査で停止中)の直下を走る断層が活断層である可能性があることが24日、経済産業省原子力安全・保安院の現地調査でわかった。
日本原電側は断層は動かないと主張してきた。
国のルールは地震で動く断層の真上に原子炉を建ててはならないと定めている。
敦賀原発2号機は廃炉となる可能性が出てきた。   ▼3面=従来と逆の指摘


日本原電によると、敦賀原発の敷地内には判明分だけで約160の断層(破砕帯)が見つかっている。
この日は、保安院の意見聴取会のメンバーである産業技術総合研究所と京大、福井大の専門家4人が調査を実施。1、2号機と3、4号機の建設予定地、日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」=廃炉作業中=付近の6地点の斜面などを調べた。
その結果、2号機の原子炉の直下にほぼ南北に走る断層について「地震が起きた場合、ずれる可能性が否定できない」などの意見が相次いだ


敦賀原発の敷地内では活断層の「浦底断層」が確認されており、4人は、浦底断層が地震を引き起こした場合、原子炉直下の断層も同時に動く可能性が高いとの見方で一致した。
保安院の小林勝・耐震安全審査室長は、過去に断層が動いた可能性を指摘し、「比較的新しい時代に浦底断層に引きずられたのではないか」と話した。


一方、日本原電は、原子炉直下の断層は自ら動いて地震を起こしたことはない▽計算上は浦底断層が動いたとしても断層が動かない - などと説明。
「耐震設計上、考慮すべき断層ではない」として、断層が動く可能性を否定してきた。
しかし昨年の東日本大震災の後、福島県内でこれまで動かないとされた断層が動き、見直し議論が起きていた。


保安院は日本原電に改めて活断層の調査を指示した。
小林室長は「新たな調査結果が示されない限り、今回の調査で判断する。調査した断層は浦底断層に引きずられて動く可能性が高い」と述べた
(小堀龍之、室矢英樹)


そして、同日の三面

(見出し)
原電主張と逆の指摘 敦賀原発直下 専門家「活断層では」
(記事)
日本原子力発電敦賀原発をめぐっては、これまで周囲の活断層が議論になってきた。
原発は直下の地盤に活断層がないことが大前提。
ずれ動いた場合の対策はなく、建崖や機器が壊れたり、傾いたりする恐れがある。
今回の調査で、複数の専門家が直下の断層が動く可能性を指摘したことで、1、2号機とも運転停止が長期化し、廃炉を迫られる可能性もある。      ▼1面参照


今回、経済産業省原子力安全・保安院が調査したのは、敦賀原発の原子炉建屋直下などに複数ある断層だ。
これまでは、現在は動かない古い断層として扱われてきた。
これが、原子炉の200㍍東を通る活断層「浦底断層」が動いた場合に一緒に動く可能性があると指摘された。


日本原電は2008年、浦底断層が活断層だと認め、敦賀原発の耐震性を再評価。
この活断層が動いて地震を起こしたとしても、揺れによる安全性への影響はないとしてきた。
一方で、真下の断層が動いた場合は施設を直撃するため、浦底断層と一緒に動かないかが保安院の審議で焦点になり、直接観察する追加調査をすることになった。
日本原電は、新旧の地層と断層との位置関係などから最近は動いていない、と主張してきた。
しかし、この日視察した専門家4人からは、こうした判断をするだけの情報が読み取れないとの指摘が相次いだ。
「この手法で議論するのは危うい」(遠田晋次京都大准教授)、「(断層が動いた)年代を決めるのが難しい」(山本博文福井大数援)と異論が続出。
動く可能性は否定できないとの見方を全員が示した
今回観察していないほかの断層も同様に扱う可能性がある。


原発は活断層の真上に造らない方針で建設が進められてきた。
06年に改定された国の耐震指針では12万~13万年前以降に動いた活断層が対象。指針の細則の手引(10年策定)は、活断層や一緒に動く小さな活断層(副断層)の直上に原子炉などの重要施設を設置することを認めていない。
今回の調査は、震災前から続いていた新指針による見直しの一環。
敷地内に古くて動かないとされる断層がある原発はほかにもあるが、敦賀原発は敷地内に活断層があるため、一緒に動く可能性が指摘されていた。
日本原電はさらに調査する方針だが調査手法の限界が指摘されており、いくら調査しても、動かないとする明確な証拠を示せない可能性もある。


敦賀原発は1号機が1970年に運転開始した古い立地の原発。
その後の研究で敷地内の浦底断層が活断層だと指摘されるようになったが日本原電は否定し続けてきた。結果的に旧指針も対象にしていた5万年前以降に動いた活断層であることを認めた経緯がある。
浦底断層自体もさらに長く、延長線上にある活断層と連動して地震を起こす可能性が指摘されている。このため、地震の揺れの想定も見直しを迫られている。
(西川迅、佐々木英輔)

(見出し)
「判断できぬ」  敦賀市長
(記事)
敦賀原発がある福井県敦賀市の河瀬一治市長は出張先の中国で朝日新聞の電話取材に答え、「国と日本原電の説明を聞かない限り、判断できない」と話した。
河瀬市長は、全国原子力発電所所在市町村協議会の会長を務め、「国が安全を確認した原発は再稼働させるべきだ」としており、原発推進の立場を表明している。






NHK「かぶん」ブログが、分かりやすい解説を掲載している。
2012年04月25日 (水)
解説:原発の活断層問題とは

福井県にある敦賀原子力発電所の地下を走る亀裂が活断層の可能性があると専門家が指摘し、日本原子力発電は、改めて現地調査を行うなどして対応を検討することになりました。
こうした原発周辺の活断層に関する評価の見直しは全国8つの原発で進められていて、専門家は「安全か危険かが分からないときは、「危険だ」と思って調査や評価をするべきだ」と提言しています。 


■原発の近くに活断層?
(略)
日本原子力発電の敦賀原発ではきのう、活断層の専門家や原子力安全・保安院の担当者らが敷地内の地層が露出している地点を調査し、地中にある「破砕帯」と呼ばれる亀裂の状態を調べました。
その結果、原発の地下を走る亀裂のひとつが活断層の可能性があることが明らかになりました。
それが2号機から西に150メートルほど離れた地中を走る亀裂です。
専門家は「亀裂は活断層の可能性があり、敷地内を走る浦底(うらそこ)断層という活断層と連動して地震の揺れが想定より大きくなる可能性がある」と指摘しました
原子力安全・保安院の専門家会議のメンバーで、敦賀原発の敷地を調査した京都大学地震予知研究センターの遠田晋次准教授は、「浦底断層の動きに伴って、誘発されてずれるという可能性があるということです。それをもう少し詳しくじっくり検討する必要があるのではないか」と指摘しています。
保安院はさらに、2号機の真下を走る別の亀裂についても「活断層の可能性があるかどうか調べる必要がある」として、日本原電に再調査を指示しました。


■運転再開「不可」の可能性も
国の耐震設計の指針では活断層の真上に原発の重要な設備を設置することは認めていません。このため、真下を走る亀裂が活断層だった場合、2号機は運転が再開できなくなる可能性が出てきます。
 活断層の問題を指摘してきた地形学が専門の東洋大学の渡辺満久教授は「地下にある小さな亀裂が敦賀原発の近くの浦底断層という大きな活断層と連動する可能性については我々が4年前から指摘してきたことで、保安院や日本原電の対応は遅い」と批判しました。
その上で、破砕帯と呼ばれる亀裂があって岩石が脆くなっている場所に原発が建設されていることについて、渡辺教授は「活動が無ければ周辺の土は固いが、粘土が多く指が土にめり込むほどやわらかい。
数万年以内の間に活動を繰り返してきた活断層であることを裏付ける証拠で、地震の振動による危険よりも土地そのものが変形したりずれが生じたりして、原発の施設や設備が壊れる危険性がある」と指摘し、さらに「これまでの原発周辺の活断層の評価は、あまりにもずさんだと言わざるを得ず、敦賀原発以外にも周辺の活断層が正しく評価されていないところは数多くある
東日本大震災以来、地震が各地で頻発していることもあり、いつ地震が起こってもおかしくないという前提で、活断層を正しく評価すべきだ」と話しています。


■「ない」とされた活断層
敦賀原発の1号機の東、250メートルには浦底断層という活断層があります。
実は昭和45年の運転開始当初は国の審査で原発の敷地内に活断層はないと評価されていました。
ところがその後の調査で4年前に活断層であることが確認されました。
さらに、このとき専門家からこの活断層とこちらにある敷地内の亀裂の一部が連動することで原発の施設に影響する可能性が指摘されました。
しかし日本原子力発電は2年前、「亀裂と活断層が連動することはなく原発の安全性にも影響しない」という評価結果をまとめました。
そうした中で東日本大震災をきっかけに、断層の活動が活発になったことから評価の見直しが進められました。
そして2号機の近くにある亀裂については専門家が「活断層の可能性がある」と指摘。
2号機の真下を通る亀裂は保安院が活断層の可能性があるかどうか調べる必要があるとしました。
日本原電では改めて地層の調査などを行って今後の対応を検討することにしています。


 ■ほかの原発は大丈夫か
今回の調査を行った保安院の専門家会議では、ほかの原発でも原発周辺の活断層が連動した場合に想定される最大の地震の揺れを見直す必要があるかどうか、議論を行っています。
きょうは石川県の志賀原発と新潟県の柏崎刈羽原発について議論しましたが、対象となっているのは敦賀原発を含め、全国8つの原発に上ります。専門家会議のメンバーで京都大学の遠田晋次准教授は、「学問的にも進歩しているので、新たに『断層』と認めざるを得ないものも出てきている。安全か危険かが分からないときは、『危険だ』と思って調査や評価をするべきだ」と指摘しています。


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