2012年4月20日金曜日

「花びらが散ったあとの 桜がとても冷たくされるように」(伊勢正三「ささやかなこの人生」)

街角のソメイヨシノがもう殆ど散って、
まだまだ遅桜がこれから見ごろだ、と言っても、
やはり桜はソメイヨシノか。

咲き始めの可憐さ
堂々とした咲き誇り
それと、散り際の見事さと。

先般(昨日か?)、
ソメイヨシノの全国制覇は明治藩閥(有司専制)政権の全国制覇と軌を一にする、
などと言ったばかりだけど。

ところで、それと関連するのか?
桜=ソメイヨシノでなかった時代と違い、
現代文学(詩歌、小説など)には桜をテーマにしたものが少ない、
と言われているらしい。
やはり、桜=皇国(軍国)史観、桜=花見で宴会のポピュリズム、
という連想が強いからか?

流行歌でいっても、
最近(?)こそ先日少し触れた福山雅治とか(コチラ)、森山直太朗がいるけど、
少し前だったら坂本冬美「夜桜お七」しかなかった。

・・・と、実は、ずっと思っていたけど、
今週の水曜か木曜に、一つ思いだした。

携帯プレーヤで時々聞いていたんだ。

伊勢正三作詞・作曲、唄風の「ささやかなこの人生」(1976年)




花びらが散ったあとの 桜がとても冷たくされるように
   誰にも心の片隅に 見せたくはないものがあるよね
   だけど人を愛したら 誰でも心の扉を閉め忘れては
   傷つきそして傷つけて ひき返す事のできない人生に気がつく

     やさしかった恋人達よ 振り返るのはやめよう
     時の流れを背中で感じて 夕焼けに涙すればいい

   誰かを愛したその日には 例えばちっぽけな絵はがきにも心が動き
   愛を無くしたその日には 街角の歌にもふと足を止めたりする
   風よ季節の訪れを 告げたら寂しい人の心に吹け
   そして巡る季節よ その愛を拾って終りの無い物語を作れ

     やさしかった恋人達よ ささやかなこの人生を
     喜びとか悲しみとかの 言葉で決めてほしくはない

桜をダイレクトに歌った歌ではないけど、
「桜」がワードとして出現するだけでも珍しい。

桜は別にして、
20歳台でこの詩が書けるのはすばらしい感性だと思う。

振り返るのはやめよう
     時の流れを背中で感じて 夕焼けに涙すればいい

ささやかなこの人生を
     喜びとか悲しみとかの 言葉で決めてほしくはない
とは、なかなか言えないよね。

伊勢正三では、他に
「あの唄はもう歌わないのですか」「雨の物語」「海岸通」、
そして・・・、「22才の別れ」
がいい。

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「昭和余年は春も宵 桜吹雪けば情も舞う」(あがた森魚「赤色エレジー」)はコチラ
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