2012年5月5日土曜日
「チェルノブイリは、まだ被害の渦中だ」(日本ペンクラブ森絵都理事)
日本ペンクラブの理事ら8人がチェルノブイリを視察。
森絵都理事は「チェルノブイリは、まだ被害の渦中だ」と語ったそうだ。
「朝日新聞」5月1日
(見出し)
チェルノブイリ視察 「福島と未来 考えた」 日本ペンクラブ理事ら8人
(記事)
日本ペンクラブの理事ら8人は4月中旬、チェルノブイリ原発事故の影響を旧ソ連ウクライナなど現地で視察した。
「福島と子どもたちの未来を考えるため」という。
25日に会見した浅田次郎会長は
「処理作業にはキリがない。絶望的だ。大人は未来に責任をもたないといけない」
と話し、原発反対を改めて表明した。
ペンクラブは昨秋「脱原発を考える集い」を開き、今春は福島を訪れ、大飯原発再稼働に反対する声明も出している。
森絵都理事は
「原発事故から26年たったチェルノブイリに教えを請う気持ちで行ったが、まだ被害の渦中だということがわかった」
と話す。
原発から30キロ圏内には検問所を通って入る。視察当時は、毎時5~6マイクロシーベルトだった。
原発の放射性物質を封じ込めるシェルターは、コンクリートに亀裂が入っていたという。
新たなシェルター造りや廃炉の管理のため、今も常時3千人が作業をしている。
報道によると新たなシェルター造りの建設費は約1620億円。
欧州各国による基金に頼り、地元の雇用が創出されてもいるという皮肉な状況だ。
中村敦夫理事は「原発は経済のためと言う人がいるが、逆の意味の冗談ではないか」。
原発から約17キロにある公園内の記念碑には、今も人が住めない100を超える廃村の名前が刻まれている。
中村理事は「広大な森の除染は不可能だと証明されている。日本は森と山の国だ」と心配を隠さない。
約60キロ離れたナロジチの病院では、がん治療のため放射性ヨードを飲む患者が壁に鉛を入れた隔離病棟にいた。
事故当時8歳で、今年になって甲状腺がんを発症した男性もいた。
ウクライナの首都キエフの内分泌研究所によると、胎内被曝した子どもの7歳検診では、健康児は2.5%しかいなかったという。
現地の医療器具などは古く粗末なモノだった。
ウクライナの医師らは「日本の医療技術なら大丈夫だろう」と語っていたという。
浅田会長は「医療や技術は素晴らしくてもそれを操作できるソフトが日本にあるか。政治主導でできるのか。科学技術でも医療でも、日本の権威が地に落ちるかもしれない。大変な正念場だ」と話した。(吉村千彰)
中村敦夫さんは、公式サイトで(コチラ)
「たくさんの現場を見ましたが、特に強く感じたことは、26年経った今でも、IAEAや政府の安全キャンペーンにも関わらず、汚染地区の危険な状態は変わらず、大人にも子どもにも、各種の重大な疾患が発症し続けているということです。」
と語っている。
チェルノブイリについては、先般、コチラ ↓ でも取り上げた。
チェルノブイリ被曝の母娘が語る「放射能との26年の闘い」(日経ビジネスオンライン」)
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